2015 Fiscal Year Research-status Report
日本近代建築におけるセセッションの受容と普及に関する研究
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15K06398
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
笠原 一人 京都工芸繊維大学, その他部局等, 助教 (80303931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 佳弥 大阪芸術大学, 芸術学部, 准教授 (20268577)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 近代建築 / セセッション / ゼツェッション / 分離派 / 武田五一 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の近代建築におけるセセッション(分離派)の受容と普及の実態について、言説や理論から建築作品まで網羅的に調査研究を行い、その特質を明らかにするものである。 本年度は、文献調査と現地調査を行った。文献調査については、オーストリアやドイツにおけるセセッションの運動の理念や広がりについて文献調査を行い、日本のセセッション普及に貢献した文献や近代化遺産についての文献の収集を行った。また、ドイツでセセッションが普及したとされるデュッセルドルフやボーフム、フランクフルト、カールスルーエなどを訪問し、日本が大きな影響を受けたとされるドイツにおけるセセッション建築の見学調査を行った。日本国内でも、セセッションの普及に貢献した武田五一の建築作品や地方都市における普及の実態を確認するため、随時見学調査などを行った。 ドイツでのセセッションは、現地では「ユーゲント・シュティール」に位置づけられていること、都市ごとに傾向の異なるセセッションが見られること、日本のセセッションとは異なったデザインのものと似たデザインのものがあることなどを確認した。日本のセセッションの方が、ドイツに比べて矮小化されて形式化、パターン化されたものが普及していたと思われる。日本国内では、1910年代から20年代にかけて、都市部から地方都市まで広くセセッションが普及していた様子を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、当初の計画のように、文献調査による理念の調査から初めて、段階を経て建物の調査を行うのではなく、文献調査と見学調査、そして海外調査と国内調査を並行して行った。その方が、概要を把握する上で、適切であると判断したためである。まだセセッションの受容と普及の実態の一部を把握している段階であるが、おおむね順調に調査研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、本年度と同様に文献調査と見学調査、そして海外調査と国内調査を並行して実施し、日本におけるセセッションの受容と普及のあり方について明らかにする。
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Causes of Carryover |
旅費や翻訳などを予定した謝金を予想以上に使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の旅費や謝金などに充てる予定である。
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