2017 Fiscal Year Research-status Report
近世近代ヨーロッパにおける中心と周縁の交流の場としての建築・インテリア創造
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15K06402
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
中島 智章 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 准教授 (80348862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 敏彦 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 教授 (60316453)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 西洋史 / 美術史 / 建築史・意匠 / 都市計画 / インテリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の柱の一つである「二重性のテーマ」、「交流のテーマ」、および、これらの統合テーマに基づき、以下の海外調査を実施した。すなわち、本研究の2本の柱の一方である「『中心』と『周縁』の交流のなかで涵養された建築・インテリア創造(交流のテーマ)」の一環たる研究課題「歴史主義の諸様式の日本を含む全世界への展開」には、工手学校関係者の貢献を明らかにすることも含まれる。その一環として、工手学校建築学科の教務主理を務めた辰野金吾のピサ、ローマにおける活動について調査を実施した。あわせて、工手学校初代管理長、渡辺洪基も加わった岩倉遣欧使節団のローマにおける足跡、第2代管理長、古市公威によるローマの市政、インフラ調査についての調査も実施した。 学会等における発表としては「交流のテーマ」として、古市公威が視察したフランス・プロヴァンス地方の治水設備、橋梁等について取り上 げた下記の口頭発表がある。1) 中島智章:「古市公威によるフランス・プロヴァンス地方のインフラ視察記 その2 言及された4箇所の吊り橋の概要・現況」、『日本建築学会学術講演梗概集』F-2建築歴史・意匠 2017、査読無、pp.899-900、2017年9月。著作等としては、中島智章:『世界一の豪華建築バロック』、エクスナレッジ、2017年、鈴木敏彦、中島智章他:『NICHE 04 ドイツ建築探訪!』、丸善出版、2017年がある 。また、論文としては、中島智章:「戦争の間、鏡の間、平和の間の関係の多様性の中にみられるヴェルサイユ宮殿のグランド・デザインへの指向」、『日本建築学会計画系論文集』第83巻第749号、査読有、2017年7月が掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に挙げた近世宮殿建築とインテリア(二重性のテーマ)の調査、および、建築におけるモダン・ムーヴメントの時代の後の新たな時代のインテリア・シーンで重要な役割を果たしたデザイナージョエ・コロンボの建築・インテリア作品(交流のテーマ)の調査結果の分析を予定通り実施し、さらにジェノヴァ、ヴェネツィア、シエナ、ピサ、ローマ、ナポリなどのイタリア諸都市で歴史主義の諸様式の日本を含む全世界への展開についての調査の一部を続行できた。また、それらの成果を学会発表、論文、著作において発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
二重性のテーマのうち、16世紀フランスの建築・インテリア、および、交流のテーマのうち、ヴェルサイユ宮殿関連については平成27年度から継続し、他のヨーロッパ諸国の近世建築についての調査も引き続き行う。それだけでなく、学会発表、論文、著作などで成果発表も進めていく。また、歴史主義の諸様式の日本を含む全世界への展開については、駐オーストリア公使/大使を務めた渡辺洪基と旧オーストリア・ハンガリー君主国の都市・建築についてヴィーンなどの諸都市での調査を予定している。
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Causes of Carryover |
2017年度に投稿した論文の掲載が2018年7月となり、論文投稿費の支払いが2018年度になったため。
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