2015 Fiscal Year Research-status Report
東南アジアにおけるインド系移民による都市形成に関する研究
Project/Area Number |
15K06414
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山根 周 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (40285242)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 東南アジア / インド / 移民 / 都市形成 / マレーシア / ペナン / マラッカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東南アジアの都市に見られるインド系移民の居住地に着目し、都市、建築、住居に見られる空間的特質と、その形成プロセスを明らかにすることを目的とし、平成27年度はマレーシアの諸都市を対象とし、クアラルンプール、マラッカ、イポー、ペナンにおいて臨地調査をおこなった。 クアラルンプールでは、KLセントラル駅南のブリックフィールド(BF)地区およびマスジッド・インディア(MI)周辺地区にインド人居住地が形成されていることを確認し、宗教施設分布調査を実施した。またMI地区内のLebuh Ampang通りが、南インドタミル地方出身でかつて金融業で栄えたチェッティアールコミュニティの集住地区であることを明らかにし、キッティンギと呼ばれるコミュニティ特有の共同オフィスが現在も残っていることを確認した。 マラッカでは、旧市街におけるコミュニティ施設分布の補足的調査をおこなった。インド系の施設に加え、華人のコミュニティ施設分布調査も実施し、民族別の居住地区の広がりを確認した。 イポーでは、キンタ川西側の旧市街において、インド系移民の居住地であるリトル・インディアが形成されていることを確認し、宗教施設分布等の調査を実施した。南インドからの移民が主体である一方、シンド地方やパンジャーブ地方出身者のための宗教施設も見られ、宗教的にもヒンドゥー、ムスリム、スィクといった多様な施設が分布していることを確認した。また、クアラルンプール同様、チェッティアールコミュニティのキッティンギの存在も確認できた。 ペナンでは、ジョージタウンにおける店舗業種分布に関する調査を実施し、先行研究の成果もふまえ、業種とコミュニティとの対応関係についての分析、考察をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度はマレーシアにおける網羅的調査をおこない、ペナンに関する分析、考察を重点的におこなったが、マレーシア以外の地域における調査が実施できなかった。これはペナンに関する分析、考察にかなりの時間を要したことが大きな理由であるが、先行研究において、マレーシア以外の地域におけるインド系移民の居住地についてある程度踏査をおこなっており、それらの概要について一定程度把握できていたこともその理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
東南アジアにおいて、インド系移民の人口割合が高いマレーシアにおいて、重点的調査を優先的に実施するとともに、その他の地域における網羅的調査も並行しておこなう。重点的調査対象としとして、イポー、クアラルンプールを候補とする。また、網羅的調査については、インド系住民の割合が比較的高いシンガポール、ミャンマーをマレーシアに続く対象地域として実施する。
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Causes of Carryover |
平成27年度に計画していた臨地調査のうちマレーシアでの調査は実施したが、調査データの分析、考察に時間を要したことにより、それ以外の地域(タイ、ミャンマー、シンガポール、インドネシア、中国)における調査をおこなわなかったため、旅費の支出が一部にとどまったことが主な理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に一部実施できなかった臨地調査のための旅費として支出するほか、調査データの整理、分析、図面化等の作業をおこなうため、グラフィックソフト、CAD、画像編集、動画編集等のソフトウェアを負担なく使用できるPCの必要性が出てきており、その購入のための物品費として支出することを主な使用計画とする。
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