2016 Fiscal Year Research-status Report
金沢東山ひがし重要伝統的建造物群保存地区における実務者用設計資料の研究
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15K06416
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
内田 伸 石川工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40321426)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 重要伝統的建造物群保存地区 / 金沢市東山ひがし / 調査史料 / 建築アーカイブ |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目は、金沢市役所との協議を重ね、時間は要したが、関連資料の原典閲覧や入手経緯、補助金の適用履歴などの情報を得ることができた。また調査対象地区の自治的組織である「金沢東山・ひがしの町並みと文化を守る会」会長とも打ち合わせを重ね、予備調査と仕様策定用の小規模調査を実施することができた。参照することとなった資料では、追加で寄贈された資料があったことが判明し、さらに当初想定していた資料とは別の資料の記録が有効とも判明した。別の資料記録に関しては、当該調査を行った研究者へのアポイント方法を調べた。しかし高齢である事や組織に所属しない状態で経過した年月が長いため、過去に所属した大学を経由しても連絡を取ることはできなかった。 調査に関しては、対象地区内の商業施設の開館時間が早いもので午前9時からのため、調査は早朝~9時までには撤収する条件で行なった。そのため予備的な調査では、過去の調査資料を精査し、比較可能な項目、記入用紙の形式の選定、複数グループに分かれて調査を行なった際の、測定ミスや判読ミス、調査方法のズレを無くすための方法を模索し、実際に調査した際の所要時間を確認してゆく事から開始した。同時に複数必要な調査道具の追加購入、撮影方法や撮影後のデータ共有などの形式も検証を行なった。なお過去の調査に関する資料閲覧に関しては、K.I.T.金沢工業大学・建築アーカイヴス研究所の協力を得て、じっくりと調べることができた。ただし資料点数が多く、特に写真に関しては充分に整理された状態ではないため、照合、確認に予想以上に時間を要した。閲覧と同時に、今後の資料劣化を軽減するための対処を行なうことができた。また、本年度までにすすめた範囲を、本研究で使用することとなった資料に関して経緯とともに、研究報告としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
観光客の増加による調査時間の制限に加え、調査方法の修正や過去の調査資料の膨大さと、未整理な状態により研究速度が遅れている。調査対象地区での制限や調査方法はある程度固まってきたので、調査回数を増やす事で対応したい。また建具制作の実務者への協力が充分に得られていない事も原因である。数少ないがヒアリングや協力を依頼すると、専門性が高すぎるためか、プライドが高いためか、「ケースバイケース、個別対応」「解体しないと分からない」と言われ、目視調査や調査項目の有効性や程度には明確な回答や意見が得られにくい。存在しなかったはずの資料が、追加寄贈により増えていたことが判明し、その増えた資料が大量の写真であり、未整理のため、参照するのに時間を要してしまう事態が発生した。
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Strategy for Future Research Activity |
図面記録の無い、写真のみの史料と現状の参照関係把握ため、調査項目を増やしたが、調査メンバーの慣れに加え、過去調査記録の参照時間も早くなっている。本年度は、調査を短時間で繰り返し行なう。対象地区が近いという条件を最大に活かしてデータの収集、資料作成に時間を集中的に使う。調査シートの仕様は、そのまま閲覧に有効な資料、書き込みも可能な仕様をめざして、1冊にまとめるのではなく、通り単位や区画単位で整理し、部分的にでも完成させ、モデルとして関係者に閲覧していただき、さらなる修正を優先させる方針である。
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Causes of Carryover |
追加寄贈された大量の写真情報の整理や、関連箇所参照に時間を要し、現地の調査自体に割ける時間が減少し、調査にかかる人件費の使用が進まなかった。また、当初とは別の資料制作者へのアポイント、ヒアリングのために出張費を使用する予定だったが、連絡が取れず、あうことができないため出張費も活用できなかった。また調査実施にあたって時間的制限が予想以上にあり、調査グループを複数化するためのに、調査や資料整理に要する物品の購入が増えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅れながらも、調査方法や体制が整いつつあるので、調査回数を増やし、調査時の人員を増やして人件費で使用する。また、未整理の状態である資料を、今後の研究のためにも分類やインデックスなどを作成するため人件費を使用する。
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Research Products
(1 results)