2018 Fiscal Year Research-status Report
金沢東山ひがし重要伝統的建造物群保存地区における実務者用設計資料の研究
Project/Area Number |
15K06416
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
内田 伸 石川工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (40321426)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 重要伝統的建造物群保存地区 / 格子 / 背面 / 建具構成 / 清掃方法 |
Outline of Annual Research Achievements |
一昨年度、研究成果としての資料有効性向上のため追加を決断した調査の実施完了した。 追加調査により、外観を最前面で構成する格子1つ背面に当たるサッシ、建具に関する情報および清掃方法の現状を把握し、残された資料を用いた比較分析を通じて、格子背面の建具構成の変化と格子を含む外観の変化の関係が浮かび上がった。 分析に際しては、残された大量の写真の種類や枚数の把握し、残されたネガの内容確認も行なった。ネガには、当該研究対象地域を撮影した際のネガは含まれていなかったため、残された現像済み写真をそのままのサイズで視認可能なレベルでの参照にとどめた。背面サッシの構成変化には、重伝建地区認定以前の法的制限の変遷が関係していることも整理することができた。また法的制限とあわせて、主たる用途の変更も把握することができた。あわせて変化要因の遠因の1つとして、建設行為に関わる職人の職域区分も影響する可能性がみつかった。建物と一体ではない、分離された可動部は建具職人、建物と一体の範囲で稼働しない範囲は大工である。このことは修理や修景に伴う工事においても言えることである。またアルミサッシが登場しはじめ、部分的に採用された以降に重伝建地区となった建物では、格子の背面で取り付けられたアルミサッシは、建具屋の職域とは住み分けられ、新たに取り付けられたアルミサッシの見え掛かりに配慮した格子戸が制作された可能性も指摘できる事例が見つかっている。 以上、変化が生じた原因分析例を含め補完することで、修理や修景により貢献できる資料の構成を構想することができた。しかし本年度は調査結果を研究報告としてまとめるに留まり、最終成果物としてのビジュアル資料の完成にはいたらなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査対象である金沢市東山ひがし地区への観光客数の増加が予想を上回り、調査実施可能時間が早朝に限られてしまったこと、またも屋外環境の調査のため、天候の影響も有り、研究遂行に想定以上に時間を要してしまった。また研究代表者の家族介護に伴う研究遂行上の遅延、および追加調査した内容を踏まえた資料作成に際し、確認を要する部分がみつかったため再度調査により、必要十分な状態の記録を追加し研究を完了するため補助事業期間延長承認申請を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間延長を承認いただいたので、確認を要する部分の調査遂行の後、修理や修景に過剰な制限とならない範囲で有効な資料制作に取り組む。資料自体は、個別性を保持しやすくするため、一体製本ではなく、カード資料のような体裁を検証する。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画には含まれていなかったが、研究遂行上必要な追加調査項目についての調査へ時間を費やしたことや、調査対象地域の観光地化の影響による調査時間の制限に加え、屋外調査のため雨天の影響があり調査が遅延したこと、および、研究代表者の家族介護のための十分な時間が避けなかったため、最終的な資料制作の実行に至らなかった。 また調査資料の作成にあったては、資料の利活用方法の検証により、一体製本ではなく物件単位の個別資料として作成するための資料編集にも時間を要する見通しとなった。 以上の理由により、確認を要する調査と実施し、個別資料形態での最終研究成果資料の制作するための費用を残し、研究費助成業の補助事業期間の延長を申請するに至った。
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Research Products
(1 results)