2015 Fiscal Year Research-status Report
イエズス会の手紙から読み解く中世ヨーロッパに伝えられた中世日本の建築空間
Project/Area Number |
15K06417
|
Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
ピチニニ・東野 アドリアナ 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70435436)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 日本建築 / イエズス会 / 教会 / キリシタン / 中世日本 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中世ヨーロッパにおける日本の建築空間及び都市のイメージがどのように形成されたのか、イエズス会が残した当時の手紙や報告書などの史料の分析を通じて明らかにすることを目的とする。研究方法は、①スペインやポルトガルに現存する史料を収集し、②それらの史料の中から中世日本の建築や都市、生活空間などに関する記述を抽出し、③当時描かれた南蛮屏風などの絵図との比較による。 1年目ではアジュダ図書館とマドリッド図書館所有の日本に関するイエズス会史料を取り寄せた。現在ではその史料を解読中。史料の数が多く、全体の2割ぐらいまでの解読が進んでいる。その結果ではイエズス会は各地域の大名の保護を求めていたことがわかる。イエズス会宣教師は大名の支援を得ることに成功した時だけその地域での教会建設活動を行った。支援または資金不足の地域ではイエズス会宣教師が十字架だけ建てていた。 イエズス会が教会として利用していた建物にはその地域の大名から頂いた建物が多い。それが住宅であった場合には移築して、教会に改造する。大名が仏寺院をイエズス会に与えることもあり、その寺の建物を教会に転用し、さらに大名の命令よりその寺で働いていた僧をキリシタンに改宗させたことが記載されている。イエズス会が廃寺を教会にしていたと日本語の歴史文献で書かれていることが多いが、本研究では廃寺ではなく大名命令より現役の寺を強引にキリシタンに転用させていた。 イエズス会が日本で利用した建物の多くは日本伝統建築、地域の有力者の支援によるものであったが、教会内部の飾りだけはインドを経由してポルトガルから取り寄せていた。そしてその教会内部飾りは教会の数より数が少ないためイエズス会宣教師が各教会を訪問する度に、ミサを行うため飾りを船で持っていたことの記載がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポルトガルとスペインからの史料を早く取り寄せすることができた。イエズス会手紙の原本の電子コピーを最新のモニターで見ると実際の史料原本より読みやすいので、解読も順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は膨大な数の史料を整理し、解読と分析を進めながら16世紀、17世紀に描かれた南蛮屏風などの絵図史料の収集を開始する予定である。
|
Causes of Carryover |
本研究の1年目計画では研究費を海外から史料を取り寄せるため利用し、為替レート(円高)より使用額が予定より少なかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究に関する海外の書籍を追加に購入予定。
|
Research Products
(2 results)