2016 Fiscal Year Research-status Report
脱合金・陽極酸化Ti-Ni-Siアモルファス合金のナノポーラス構造と電子物性
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15K06422
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
藤間 信久 静岡大学, 工学部, 教授 (30219042)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | アモルファス合金 / 脱合金 / 第一原理計算 / 相互作用エネルギー / ナノポーラス構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
触媒、センサー、スーパーキャパシタ―等への応用が期待される、ナノポーラス合金構造を生成させる有効な手法の1つである脱合金のプロセスを解明とアモルファス合金への応用を目的として、Ti-Ni-Siアモルファス合金とこの合金からNi元素を除去、すなわち脱合金させたナノポーラス構造について、Ti52Ni32Si100クラスターおよびTi52Si100クラスターを用いた構造最適化を行った。クラスターの初期構造をTi4Ni4Si7 (tI60)規則合金から切り出した構造として、第一原理計算(VASP5.3)により構造を最適化した結果、脱合金後(Ni除去後)もTi-Si構造はよく保持され、Ni=空孔がナノポーラス構造を形成することを確かめた。 また、Ti-Ni-Siアモルファス合金の局所構造とその生成メカニズムを明らかにすることを目的として、ダイヤモンド構造およびβ-Sn構造を持つSi結晶中でのTi、Ni原子まわりの局所構造、Ti-Ti、Ni-NiおよびTi-Ni間の2体相互作用エネルギーとその距離依存性を同じく第一原理計算を用いて算出した。その結果、Si中のNi-Ni原子間距離は、ダイヤモンド構造におけるSi-Si原子間距離とほぼ同じになるのに対し、Ti-Ti、Ti-Niの原子間における構造が大きく変化するとともに原子間距離もSi-Si距離から大きく変化することを明らかにした。これらの原子間距離は、Siリッチな規則合金、TiSi2、NiSi2、Ti4Ni4Si7における金属間の原子間距離に近い値をとり、エネルギー的に安定な局所構造はこれら規則合金中での局所構造と類似の構造となることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、Ti-Ni-Siアモルファス合金と脱合金後のナノポーラス構造についての同定を行い、これを論文にまとめているところであるが、その生成メカニズムの解明が未だ完成していない。そのため、高温下におけるアモルファス合金構造、脱合金後のナノポーラス構造の変化や、陽極酸化に対応するナノポーラス構造への酸素原子の吸着構造の計算に至っていない状況である。今後はナノポーラス構造の計算と並行して酸化構造の計算を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
第一原理計算により得られたTi-Ni-Si合金構造を基にして、以下の計算を行い、脱合金・陽極酸化アモルファス合金のナノポーラス構造について以下の2点を明らかにする。 (1) アモルファスナノポーラス構造:第一原理分子動力学計算により高温から急冷した状態でのアモルファス合金のサンプル構造を構築し、そこからNi原子を除去することにより生じる空孔構造を明らかにする。その際、これまで得られた(規則相ベースの)空孔構造との違いについて明らかにする。 (2) 酸化された空孔領域の構造:空孔領域に酸素原子を吸着させた系の構造の最適化を行い、TiO2やSiO2等の生成される酸化物および周辺空孔領域の構造について明らかにする。これらの結果と電顕写真等の実験結果と比較する。
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Causes of Carryover |
当該年度に第一原理計算を行うための計算機を購入する予定であったが、機種選定の段階で、次年度の予算と合算して、より高機能な計算機を購入した方がよいと判断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度予算と次年度予算とを合算して、第一原理計算用の計算機1台を購入する。2017年5月に入札、購入手続きが終了する予定である。
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Research Products
(3 results)