2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K06423
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
徐 ぎゅう 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (90273531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 倹 京都大学, 原子炉実験所, 技術職員 (30379010)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 鉄 / 力学特性 / ヘリウム注入 / 転位 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の実験に続き、今年度に5%と40%冷間加工の鉄試料に対して、ヘリウム注入による力学特性の変化への影響を調べた。5%と40%冷間加工の鉄試料の原子空孔集合体をなくすため、それぞれ350℃で0.5時間と450℃で1時間の焼鈍を行った。焼鈍後の試料にほぼ転位だけが存在する。これと同じように熱処理を施した厚み0.1mmの5%と40%冷間加工の引張試料に対して、弾き出し損傷ができない100eVのヘリウムを1.0×1020、または5.0×1020 ions/m2注入した後に、引張試験を行った。5%冷間加工により転位を導入した鉄に比べ、ヘリウム1.0×1020 ions/m2を注入した試料の0.2%耐力と最大引張応力はやや増加した。また、伸びも1%程度に増加した。一方、40%冷間加工により転位を導入した鉄に比べ、ヘリウム1.0×1020 ions/m2を注入した試料の0.2%耐力と最大引張応力はやや減少したが、伸びは殆んど変らなかった。ヘリウム注入量を5.0×1020 ions/m2まで増加したら、伸びはようやく増加に転じた。ヘリウムの未注入試料に比べ、伸びが約1%程度に増加した。ヘリウム注入量の変化が0.2%耐力と最大引張応力の影響が見られなかった。前年度に行った10%冷間加工により転位を導入した鉄の結果を加えてまとめると、転位にトラップされたヘリウムが鉄の0.2%耐力と最大引張応力に影響を与えないが、延性を改善する。 透過型電子顕微鏡を用いて、10%と40%冷間加工による鉄中の転位組織を観察した。転位密度はそれぞれ2.5×1013と1.3×1014/m2であった。注入後のヘリウムの分布が冷間加工率の増加と共に、試料の表面に集中する。従って、冷間加工率が高い試料においては、冷間加工率が低い試料と同じ伸びを得るため、より多いヘリウムの注入が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、前年度の実験と異なる変形量の鉄におけるヘリウム注入による力学特性の影響を調べた。また、透過型電子顕微鏡を用いた組織観察により、変形量が違う鉄中の転位密度のデータを取得した。これに基づいて鉄に注入されたヘリウムの分布を計算した。計算結果が変形量の異なる鉄におけるヘリウムによる力学特性への影響をうまく説明した。それ以外に、変形した鉄に対して、水素または重水素イオン照射を行った。最終年度の鉄の力学特性に及ぼす水素、ヘリウムの相乗効果の研究環境を整えた。鉄と同じ構造を持つタングステンにおける欠陥とヘリウムとの相互作用を調べ、その成果を国際雑誌(Philosophical Magazine Letter 96 (2016) 477-481)に発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に続き、変形した鉄における転位とヘリウム、更に水素との相互作用を調べる。特に、鉄中に注入されたヘリウムが水素による鉄の引張特性の劣化に影響を与えるかどうかを重点的に研究する。それらの実験結果をまとめ、ヘリウム、水素による鉄の引張特性の変化のメカニズムを解明する。鉄の水素脆化の改善、または防止方法を提案する。
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Research Products
(21 results)