2017 Fiscal Year Research-status Report
圧子圧入試験によるhcp単結晶の局所変形機構の解明
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15K06425
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北原 弘基 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 助教 (50397650)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 新二 熊本大学, 先進マグネシウム国際研究センター, 教授 (40222781)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 二次錐面すべり / pop-in |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、純Zn単結晶に対して、球圧子圧入試験を行うことで得られる荷重-変位曲線と圧痕形状および変形挙動の相関を調査し、以下の結果が得られた。 1. (0001)圧入時は、圧痕形状が円形となり、(10-10)および(1-210)圧入時は、圧痕形状が[0001]に伸長した楕円形となった。光学顕微鏡により、圧痕周辺の観察を行った結果、(0001)圧入時は、二次錐面すべり、(10-10)および(1-210)圧入時は、底面すべりのすべり線が観察された。 圧子圧入試験によって得られた荷重-変位曲線において、(0001)圧入時のみpop-in現象が観察された。(0001)圧入時は、底面すべりと二次錐面すべり、(10-10)および(1-210))圧入時は、底面すべりにより圧痕が形成されていた。したがって、pop-in現象の発生には二次錐面すべりが関係すると考えられる。 2. 負荷保持時間が大きくなると、最大深さとクリープ深さは大きくなり、クリープ速度は小さくなった。一方、押し込み速度が大きくなると、クリープ深さおよびクリープ速度は大きくなった。このとき、最大深さは押し込み速度の大きさに関わらず一定であった。 3. 押し込み速度を変化させて、圧子圧入試験を行った結果、ブリネル硬さに大きな違いが現れた。ブリネル硬さは、(10-10)および(1-210)圧入時のほうが(0001)圧入時よりも大きな値を示した。圧痕深さの測定を行った結果、荷重-変位曲線から得られる圧痕深さよりも小さくなることが分かった。さらに、圧痕下での変形挙動を観察すると、(0001)圧入時と(10-10)および(1-210)圧入時の短径方向の断面では、沈み込みにより圧痕が形成されているのに対して、(10-10)および(1-210))圧入時の長径方向の断面では、盛り上がりにより圧痕が形成されていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は、日本学術振興会「頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラム」により、平成26年3月~平成27年3月まで、海外長期派遣があったため、研究遂行ができなかった。また、その直後の熊本地震(平成27年4月)により遅延が発生している。そのため、1年間の研究期間延長を行い、平成30年度での研究終了を予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで、純Mg、純Tiおよび純Znの変形挙動と荷重ー変位曲線の相関について明らかにしてきている。特に、純Znについては、popin現象やクリープ現象について詳細に検討を行ってきている。まずは、純Znを対象として、Popin現象からの錐面すべりの臨界分解せん断応力(CRSS)の検討やクリープ現象からのクリープ速度等の転位の運動速度の予測などを検討していく。同様の手法が確立できれば、純Tiや純Mgへの適用について検討する。さらに可能であれば、Mg合金単結晶(Mg-Al、Mg-Y、Mg-Zn等)への展開も考えている。
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Causes of Carryover |
研究代表者は、日本学術振興会「頭脳循環を加速する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラム」により、平成26年3月~平成27年3月まで、海外長期派遣があったため、研究遂行ができなかった。また、その直後の熊本地震(平成27年4月)により遅延が発生している。そのため、1年間の研究期間延長を行い、平成30年度での研究終了を予定としている。
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