2017 Fiscal Year Annual Research Report
Synthesis of next genration cuprate-superconductors without rare-earth elements using soft-chemical processes
Project/Area Number |
15K06433
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
加藤 雅恒 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50211850)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 超伝導 / 希土類フリー / 銅酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は,Sr2-xBaxCuO2F2+δにおいて、x(Ba)≦0.6では超伝導転移温度TcはBa量の増加とともに65Kまで上昇したが,x(Ba)>0.6では急に低下した。本年度は、そのTc低下の原因を調べた。その結果、x(Ba)>0.6では過剰フッ素F量δ、すなわちホールドープ量が急に減少することがわかった。これはa軸長が3.90Åを超え、ホールがCuO2面に入りにくくなったためと結論した。これまでに発見されたホール型銅酸化物超伝導体における経験則に従うものである。これは、CuO2面よりブロック層のサイズが大きくなり、CuO2面がホールを取り込んで小さくなろうとすることができなくなるためである。 次に実用化が期待されるBi-2212相(Bi,Pb)2Sr2CaCu2O8+δにおいて、過剰酸素を完全に除去し,Pb量を微調整してホール濃度を最適化することによって、この系では初めてTcが100Kを超える物質を作製することに成功した。この系でも、先のSr2-xBaxCuO2F2+δと同様に過剰O(F)が超伝導を大きく抑制することが示された。 さらに、実用化が最も期待されるREBa2Cu3O7 (RE:希土類元素)において,REの量を減らすべく、Caで置換して酸素を減らした(RE,Ca)(Ba,Sr)2Cu3O6.0のTc向上を試みた。これまでの最高のTc=50Kから72Kまで大きく向上させることに成功した。成功の要因は、Baサイトを小さなSrで部分置換し、REも最も小さなLuを用いることにより格子を小さくし、ドープしたホールがブロック層よりCuO2面に入りやすいようにしたことにある。この系でもいかに過剰Oを完全に除去するかが重要である。今後、さらにSr置換量を増やして、格子を小さくすればTc>100Kが期待できる。
|