2016 Fiscal Year Research-status Report
アモルファスダイヤモンドの非平衡重畳プロセスを用いた直接変換法に関する研究
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15K06440
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
庭瀬 敬右 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (50198545)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 黒鉛 / アモルファスダイヤモンド / 中性子照射 / 衝撃圧縮 / 静水圧 / ラマン分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ボールミリングや高エネルギー粒子線照射下、衝撃圧縮、静水圧下での炭素系物質の破壊と創製に関するメカニズムをナノ欠陥の観点から明らかにすることである。 ボールミリングのボールが衝突し合う環境では黒鉛は粉砕される。高エネルギー粒子線照射下ではナノ欠陥の蓄積により材料の劣化につながる。一方、ナノ欠陥含有材料を、衝撃圧縮や静水圧下の環境に入れることによって新たな炭素系物質を創生することができる。我々は、これまで、C60フラーレンや中性子照射黒鉛、カーボンナノウォールに衝撃圧縮を行うことによってアモルファスダイヤモンドが生成されることを見出してきた。一方、ボールミリングによっても、ボールの衝突下でナノ欠陥が多量に生成されるため、新たな物質創製の原料とすることができる。また、衝撃圧縮に比較して、静水圧下での中性子照射黒鉛の変化を比較することも、黒鉛-ダイヤモンド変換のメカニズムを明らかにするうえで興味深い。 ボールミリングによって黒鉛のアモルファス化が引き起こされるが、容器やボールの材質に関係する触媒効果の影響でアモルファス化が引き起こされると考えられていた。今回、ステンレスボールミルに関して、敷居の回転数以下ではアモルファス化が現れないことが示され、アモルファス化に関係する欠陥の生成には敷居の力が存在することが示唆された。一方、中性子照射された黒鉛の衝撃圧縮回収試料には、変換の境界領域を示す地域的依存性が見出され、変換過程の新たな知見を与えている。また、中性子照射された黒鉛の静水圧での変換も調べられており、未照射試料とは異なった多結晶ダイヤモンドの回収がみられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、ボールミリングによる黒鉛の構造変化のプロセスを明らかにするために、ボールの材質、ボールの大きさ、遊星ミルでの回転速度などの条件を変化させて調べている。2016年度は密度の高いタングステンカーバイド材料を用いて黒鉛のボールミリングを行った。ラマン分光法による測定でミリングによる変化が単純な欠陥から乱れた欠陥の蓄積ステージに分けられることが示された。ボールミリングによって粉体化した黒鉛を用いて、衝撃圧縮の実験を行った。 また、中性子照射された黒鉛の衝撃圧縮回収試料から、ダイヤモンドへの変換の境界領域の存在など興味深い結果が得られている。愛媛大学、兵庫県立大学との共同研究で、中性子照射された黒鉛の静水圧下での変化の実験結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ボールミルングでの黒鉛の粉砕のメカニズムを明らかにするため、触媒効果がほとんど無いと考えられるジルコニアを用いてボールミリングを行う。また、欠陥の黒鉛-ダイヤモンド変換プロセスへの影響を明らかにするために、ボールミリングや高エネルギー粒子線照射による欠陥の導入過程の解明、および衝撃圧縮、静水圧下での黒鉛-ダイヤモンド変換の状態をラマン分光法やX線分光、電子顕微鏡を用いて明らかにしていく予定である。これらの結果を論文としてまとめていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度にボールミリングのボールと容器を購入するために残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ボールミリングの実験のための機器を整備する。
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