2016 Fiscal Year Research-status Report
シート構造を有するメソポーラスシリカの創製とその応用に関する研究
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15K06474
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 且也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 無機機能材料研究部門, 副研究部門長 (70356781)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | シリカ / メソポーラス / シート構造 / 細孔 / 金属 / レアアース / 吸着 / 選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
レアアースの一種であるジスプロシウム (Dy) は、次世代自動車のモーターとして使用されているネオジム磁石に添加され、産業の発展に大きく貢献している。しかし近年では、レアアースの不足と価格高騰のため、レアアースの回収や再利用に関する研究が活発に行われている。これまでの研究では、Dy を選択的に吸着、分離するカルボキシル基修飾シリカゲルが報告されている。本研究では、高い表面積を持つメソポーラスシリカ (MPS) を吸着担体として使用した。粒子構造の異なるシリカ (シート型MPS Sheet、球状MPS MCM-41s、細孔を持たないシリカ Stober)を有機鎖構造の異なる表面修飾剤でカルボキシル基修飾し、Dy 吸着能に与える影響を調査した。各シリカへのアミノ基とカルボキシル基の修飾量を熱重量減少により算出した。Sheet 及びStober へのアミノ基の修飾量は同程度 (0.5~1.98 umol/mg) であったのに対し、MCM-41s では1.59~3.36 umol/mg と高いアミノ基修飾量を示した。しかし、アミノ基修飾されたMCM-41s へのカルボキシル基の修飾量は、44~55 %程度減少した。Sheet MPS はアミノ基修飾量と同程度のカルボキシル基が修飾されていた。Sheet-2HNHCOOH が最も高いDy 吸着量 (13.3 ug/mg)を示し、一方で、カルボキシル基の修飾量が少ないMCM-41s の3つのシリカでは、Dy の吸着量が大きく低下した。その他の金属イオン(Cu, Fe, Nd, Zn)では、全てのサンプルで低い吸着量を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、【 前年度に作製したシート型 MPS の表面改質を行い、高効率な金属イオン吸着剤を作製することが研究目標であった。メソポーラスシリカの構造、表面官能基の選定、優先吸着元素の探索と効率を調査して、ほぼ当初の目標を達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
① シート型メソポーラスカーボン (MPC) を作製する。MPS のカーボン化については、これまで報告例のあるレプリカ法を採用する。すなわち糖やアルコールなどの有機物をシート型MPS の細孔に埋入し、窒素雰囲気化で焼結・カーボン化させた後に、シリカを溶解・除去し、MPC を作製する。 ② 作製したシート型MPC 上にバイオ燃料電池で使用される酵素 (例えば、グルコース酸化酵素)を固定化し、酵素活性安定性について評価する。 これらの検討結果から、カーボンナノチューブやグラフェンなど他のカーボン材料に固定化された酵素比較して、2倍以上の活性を発現するシート型MPC 固定化酵素を創成する。
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Causes of Carryover |
H28年度使用予定であった消耗品の種類が予定していた数よりも少なく、必要な費用が少額となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度は、電気泳動装置などの備品の購入も予定しており、全額を使用予定としている。
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