2015 Fiscal Year Research-status Report
量子ビームを利用した充放電下全固体リチウムイオン電池の静的・動的構造の観測
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15K06483
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
森 一広 京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (40362412)
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2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 中性子散乱 / 放射光X線散乱 / 電池材料 / イオン伝導体 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、大強度陽子加速器施設／物質・生命科学実験施設（J-PARC／MLF）や大型放射光施設（SPring-8）の量子ビーム（中性子線および放射光X線）をフル活用し、電気自動車や家庭用蓄電システム等のキーテクノロジーである全固体リチウムイオン電池（LIB）の電池反応メカニズムについて解明することである。量子ビーム実験に適した全固体LIBを開発し、結晶・非晶質系固体電解質（リチウムイオン伝導体）および正・負極活物質（混合導伝体）中の充放電下でのリチウムイオンの位置、イオン伝導経路および動き（ダイナミクス）、さらには固体電解質―活物質界面（SEI等）について詳細に調べ、全固体LIBの電池性能を決めている主な要因を明らかにする。
平成27年度は、中性子回折および放射光X線回折を利用し、リバースモンテカルロ（RMC）モデリングとbond valence sum（BVS）解析を組み合わせることで、Li2S-P2S5系およびLi2S-GeS2系固体電解質中のリチウムイオン伝導経路の視覚化に成功した。この技術は、結晶／非晶質の両方に適用することが可能である。さらに、中性子準弾性散乱により、リチウムイオン伝導経路内のリチウムイオンの動きを直接観測することに成功した。一方、充放電下中性子回折実験用蓄電池セル（単セル）を試作し、本蓄電池セルを用いた予備実験を実施した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、量子ビーム（中性子線および放射光X線）による回折データとRMCモデリングおよびBVS解析を組み合わせた固体電解質材料に対するリチウムイオン伝導経路視覚化技術を開発した。また、中性子準弾性散乱によるリチウムイオン挙動の直接観測技術を確立した。さらに、充放電下量子ビーム回折実験用蓄電池セルの試作を進めている。蓄電池セルは、充放電評価装置、交流インピーダンス測定装置、等を用いて、随時、特性評価を行っている。これらの技術を融合することで、充放電下での全固体LIBの静的・動的構造観測が可能となる。一方、メカニカルアロイング法による新規蓄電池材料（主に、固体電解質材料）の探索も進めている。以上のような理由から、本研究課題は「おおむね順調に進展している」と言える。
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| Strategy for Future Research Activity |
以下に、本年度（H28年度）の主な研究計画について示す。
（１）充放電下量子ビーム回折実験用蓄電池セルによる中性子および放射光X線回折実験の実施・・・充放電下量子ビーム回折実験用蓄電池セルを開発し、中性子および放射光X線回折実験を行う。全固体LIBセルとして、例えば、「LiCoO2｜Li2S系超イオン伝導体」｜Li」を対象とし、充放電下での固体電解質および正極活物質の静的構造について調べる。
（２）充放電下中性子準弾性散乱実験用蓄電池セルの試作・・・充放電下においてリチウムイオンの動的挙動を観測するため、本蓄電池セルの試作を行う。（１）の結果と融合し、全固体LIBの静的および動的構造の関係を明らかにする。
（３）電解質―活物質界面評価用試料の試作・・・LIBの電解質―活物質界面（SEI等）の状態について調べるため、中性子反射率測定に適した評価用試料の試作を行う。電解質には、固体電解質および有機電解液を使用する。
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| Causes of Carryover |
充放電下量子ビーム回折実験用蓄電池セルは現在も開発途中であり、量子ビーム回折実験を行った後、本蓄電池セルのさらなる改良が必要となるため、費用が必要である。そのため、平成28年度の予算と合わせて早い段階で充放電下量子ビーム回折実験用蓄電池セルの改良を行う。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用計画を以下に示す。（１）充放電下量子ビーム回折実験用蓄電池セルの改良費用。（２）量子ビーム回折実験を行うための出張旅費（主に、J-PARCおよびSPring-8）。（３）新規蓄電池材料探索のための試薬購入。（４）当該研究の成果を発表するための経費（論文発表、学会発表、研究会、等）。
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Research Products
(8 results)
