2017 Fiscal Year Annual Research Report
Irradiation damage in refractory high entropy alloys focusing on the recovery of the lattice defect
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15K06484
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永瀬 丈嗣 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 准教授 (50362661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 竜治 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 准教授 (40243183)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ハイエントロピー合金 / 照射損傷 / 原子力材料 / 超高圧電子顕微鏡法 |
Outline of Annual Research Achievements |
超多成分等原子組成比合金「ハイエントロピー合金」は、単純な結晶構造を有する高濃度固溶体を形成し、多成分ゆえの特異な格子欠陥に起因した高い耐照射特性を示す可能性がある。本申請課題では、BCC等原子組成固溶体を形成するAlTiZrPdCuNi系ハイエントロピー合金における格子欠陥形成・回復挙動および格子欠陥導入にともなう組織・構造変化を、超高圧電子顕微鏡法を用いて動的に捉えるとともに、ナノ分析電顕法によるナノレベル評価を行うことで、ハイエントロピー合金の格子欠陥自己修復機能を解明し、耐照射ハイエントロピー合金の開発を行った。 BCC構造を示すAl0.5TiZrPdCuNiハイエントロピー合金は、高速電子照射下でその構造を安定に保つことが出来ず、アモルファス化した。高圧電子顕微鏡法および電子顕微鏡その場観察の結果から、Al0.5TiZrPdCuNiハイエントロピー合金のアモルファス化には、下記の特徴があることが見いだされた。すなわち、(1)明視野像においてブラックドットコントラストが確認されない、(2)明瞭な温度依存性を示し、臨界温度以上ではアモルファス化しない、(3)照射誘起アモルファス化の臨界温度は、結晶化の臨界温度よりも低い、(4)照射によりアモルファス化した領域は、加熱により熱誘起結晶化をする、である。観察された特徴は、これまで金属間化合物において報告されてきたアモルファス化挙動と同様の特徴であると考えられた。一方、おなじBCC構造をしめすTiNbTaZrVハイエントロピー合金やAl0.3CoCrFeNi合金では、アモルファス化の発現は観察されなかった。ハイエントロピー合金におけるアモルファス化の発現には、構成元素の原子半径比が重要な因子であると考えられた。
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Research Products
(4 results)