2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K06488
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中田 伸生 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (50380580)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 鉄鋼材料 / 組織連結性 / パーコレーション / マルテンサイト変態 |
Outline of Annual Research Achievements |
第二相の体積率を連続的に増大させた場合の複相組織鋼の機械的特性,とくに降伏強度の変化ならびに母相/第二相間のひずみ分配挙動の変化を調査するため、Fe-30mass%Niオーステナイト合金に対して、適切な条件でサブゼロ処理と焼鈍処理を施した。これにより、組織の一部で、fcc → bcc → fcc の2 度のマルテンサイト変態が生じ、(軟質オーステナイト+硬質オーステナイト)複相鋼が得られた.さらに、サブゼロ処理温度を変化させることで第二相である硬質オーステナイト相の体積率を任意に変化させることに成功し,硬質オーステナイト相の体積率が,0,34,50,70,86%となる試料を準備した。 以上の様にして得られた(軟質オーステナイト+硬質オーステナイト)複相鋼の引張特性を調査した結果、その降伏強度が第二相体積率に依存して増加するものの、その増加挙動が線形的ではないことが明らかとなった.具体的には,第二相の体積率がある臨界値に達したとき,降伏強度が急激に増加することがわかった。以上の結果は、複相組織鋼の強度特性が、第二相の体積率のみではなく、その分散状態や連結化(パーコレーション)にも支配されることを明示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の新規性といえるパーコレーションによる複相組織鋼の強度特性変化をすでに確認することが出来ており、当初の予定通りに研究が進行していると判断される。ただし、引張変形中の軟質オーステナイト/硬質オーステナイト間のひずみ分配挙動を評価することが出来なかったことが、若干の課題となった。
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Strategy for Future Research Activity |
残課題となった軟質オーステナイト/硬質オーステナイト間のひずみ分配挙動を実験的に調査するとともに有限要素法解析を用いたシミュレーションを実施する。そして、第二相のパーコレーションを実測するため、通常の2次元での組織観察に加えて、連則的に研磨と観察を繰り返す、逐次組織観察法により、軟質オーステナイトと硬質オーステナイトの3次元的な分布状態や連結性を定量的に評価する。
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Research Products
(1 results)