2015 Fiscal Year Research-status Report
複合負荷を受ける軸部品に対する二方向同時締結技術の開発
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15K06506
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣田 健治 福岡工業大学, 工学部, 教授 (50273256)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 締結 / 塑性変形 / 接合強度 / 軸部品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では軸部材と円盤部材を塑性変形により締結して一体化する工法において,単純な加圧動作で軸方向とねじり方向の両方向に機械的なかみ合いを形成し,複合的な負荷を受ける軸部品にも適用可能な締結技術の確立を目指す.平成27年度は軸先端の周方向に歯形を,軸方向に段と溝を付与した焼入れ軸を用い,純アルミニウム製の円盤材との締結実験を行った.歯形部,段部および溝部の寸法形状は過年度の基礎実験で得られた結果をもとに決定した.歯形の終焉部に段部と溝部を与えることで,歯形部による周方向のかみ合い形成から連続的して軸方向のかみ合い形成を行うことが可能であった.得られた主要な結果を以下にまとめる. 1.結合時の荷重線図から,段部の押し込みが始まる時点で荷重の増加が大きくなり,周方向よりも軸方向のかみ合い形成に要する荷重が高いことがわかった. 2.溝部の充填は円盤材への段部の貫入深さとともに増加し,約80%の充填率で飽和した.一方,歯形部の充填は穴縁の成形代の位置よりも深くなり特に溝に近い位置ほど充填率が高くなる傾向が見られた.これは溝部に充填した材料の一部が歯形部へ流動したことを示し,歯形部と溝部の連成により双方の充填を補填することで結合荷重の過度な高まりを抑制する効果があると考えられる. 3.結合体に対して軸の押し抜き試験およびねじり試験を行った.得られた荷重およびトルクからかみ合い部分のせん断強度を算出して母材(円盤材)のせん断強度と比較した結果,軸方向,周方向ともにかみ合い部の充填量が60%以上の条件で母材以上の締結強度が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に比べて段部の寸法形状のパラメータに関してまだ検討していない部分があるが,実施した条件範囲にて軸方向とねじり方向の両方向に対して十分な締結強度を実現できることが判明し期待された成果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の方法では軸方向のかみ合いを得るために溝部と段部,さらに段部の押し込み代の寸法を確保する必要があり,結合に必要な軸方向寸法が増えてしまう.この点に関して,上記方法で締結強度を落とさずに溝部と段部の所要寸法を低減できる可能性を探るとともに,歯形部の歯筋に細かな溝を多数付与する新たな方法についても検討する.
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