2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of high performance laminate type hydrogen storage alloys by using extreme severe plastic deformation (ESPD) and hydrogenation disproportionation desorption recombination (HDDR)
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15K06519
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 孝治 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (40357439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 博之 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (20351497)
近藤 亮太 関西大学, 化学生命工学部, 助教 (60709088)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超積層体 / 水素吸蔵合金 / 繰り返し圧延 / 低温合金化 / 組織形成 / 初期活性化 / 微細組織 / 活性化エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
今までの研究から、Mg/Cu超積層体では、その初期構造が水素吸蔵・放出特性に大きな影響を及ぼすことが解っていた。そこで本研究では、初期活性化時の組織形成メカニズムを明らかにすることにより、高機能積層型水素吸蔵合金を開発することを目的とした。Mg/Cu超積層体では、繰り返し圧延の回数により初期活性化時の水素吸蔵特性や水素吸蔵後の微細組織が大きく異なることから、繰り返し圧延中に起こった何らかの変化が水素吸蔵特性や微細組織の違いを生み出していると考え、繰り返し圧延回数の異なる試料のas-rolledと初期水素吸蔵後の組織を比較した。繰り返し圧延中にMgもCuも再結晶を起こすため、5回以上繰り返し圧延すれば、as-rolledの試料は繰り返し圧延回数によらず結晶粒径や転位密度に大きな差が無いこと、Mg/Cu超積層体の合金化の活性化エネルギーはMg-Cu拡散対よりはるかに低くなるが、10回以上の繰り返し圧延でほぼ同程度になること、組織的な大きな違いは、MgとCuの層の厚さであり、合金化に必要な拡散距離が組織形成に大きな影響を与えていることが解った。また、初期水素化時は水素雰囲気下で室温から加熱するので、MgとCuの合金化とそれに続くMg2Cuの水素化およびMgの水素化が競合する。初期水素化時の組織形成メカニズムはMgの水素化のタイミングにより次の3つの場合に分けられ、それぞれ水素吸蔵特性が異なることが解った。①Mgの水素化がMgとCuの水素化より先に起こる場合。②Mgの水素化がMgとCuの合金化よりは遅いがMg2Cuの水素化より早い場合。③Mgの水素化がMg2Cuの水素化より遅い場合。高機能積層型水素吸蔵合金作製のためには③の場合にする必要が有り、そのためには、各層を薄くして拡散距離を短くすること、欠陥を大量に導入し拡散速度を向上させることが最も重要な因子であることが解った。
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