2015 Fiscal Year Research-status Report
感温性磁性吸着剤の開発-温度による細孔入口径及び分散凝集状態の制御-
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15K06536
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
村上 賢治 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10272030)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 温度応答性吸着剤 / 磁性吸着剤 / 感温性高分子 / 分子ふるい / 有機無機複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に複合体の合成とその構造解析を実施した。無機多孔体として天然ゼオライト及びメソポーラスシリカ(MS)を使用した。ゼオライトをアンモニア水に入れ,そこに塩化第一鉄と塩化第二鉄の混合水溶液を窒素雰囲気下で滴下した。生成物をろ過後,50℃で48h乾燥することでマグネタイト/ゼオライト複合体を得た。複合体のXRD測定の結果,目的とするマグネタイト/ゼオライト複合体が生成していることが分かった。この複合体にアリルトリエトキシシランを反応させ,更に感温性高分子(ポリN-イソプロピルアクリルアミド,PNIPAM)の重合を行い,PNIPAM/マグネタイト/ゼオライトの合成を行った。FT-IR測定の結果,複合体表面上にPNIPAMが固定化されていることが確認された。ゼオライトの場合と同様に,MSの場合もマグネタイトを共沈法で固定化した。MSはゾルゲル法を用いて合成した。テンプレートとして臭化セチルトリメチルアンモニウムを使用したため,MSの平均細孔直径は2.5 nmとなった。pHを8~11に調整したアンモニア水中にMSを懸濁させ,塩化第一鉄と塩化第二鉄の混合水溶液をゆっくりと滴下した。生成物をろ過後,60℃で24時間乾燥し,600℃で5時間窒素中または空気中で焼成した。焼成後の試料について,XRD測定を行った結果,MSに起因する回折線の強度が非常に弱くなった。これは水溶液のpHが高くてMSが溶解したためと考えられた。そこで,MS上に塩化第一鉄を含浸法により担持し,その後,電気炉内で水素還元することにした。水素還元後のXRD測定結果から還元条件により鉄化合物の形態は異なることが分かった。マグネタイトが生成するのは300℃,1時間の水素還元の時であることを見出した。また,含浸法を用いることでMSの構造は維持されることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に実施を予定していたPNIPAM/マグネタイト/ゼオライト及びPNIPAM/マグネタイト/メソポーラスシリカ複合体の合成のうち,後者についてはPNIPAMの被覆までは出来なかった。しかし,最も困難と思われたマグネタイト/メソポーラスシリカの合成には成功した。マグネタイト/メソポーラスシリカ上へのPNIPAMの被覆についてはゼオライトの場合と同様に行えば良いので,おおむね順調に進展していると言って良い。
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Strategy for Future Research Activity |
ゼオライトの方の複合体は既に合成済みであるので,この複合体の吸着特性を検討する。ゼオライトの場合,大きな分子の吸着には不向きであるため,ここでは金属イオンがターゲットとなる。金属イオン吸着特性に及ぼす温度,溶液pH,攪拌時間,吸着質濃度/吸着剤量比の影響を検討する。更にマグネタイト/メソポーラスシリカにPNIPAMを被覆し,そのたんぱく質吸着特性も調査する。温度応答性を変えるためには,感温性高分子の親水性/疎水性の制御が必要となる。そこで,NIPAMモノマーに別のモノマーを共重合させた感温性高分子の被覆を試みる。ここでは,NIPAMとの共重合に用いるモノマーの種類や混合率が高分子の温度応答性(体積膨張率,相転移温度)にどのような影響を及ぼすか検討する。
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Research Products
(2 results)