2016 Fiscal Year Research-status Report
ナノセンシング技術による汚れの付着脱離過程の定量モデル化予測と付着抑制技術開発
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15K06539
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
萩原 知明 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (20293095)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 洗浄 / 汚れ付着 / 水晶振動子マイクロバランス法 / QCM-A / リゾチーム / トリオレイン / 洗浄速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質の付着過程の精密測定と定量モデル化ならびにそれに伴うタンパク質の各種金属(ステンレス鋼)への付着過程の解明を、リゾチームを用いて、アドミッタンス解析に基づく水晶振動子マイクロバランス法(QCM-A)により行った。また、実際の食品由来汚れ(サケ抽出液、野菜ジュース、ウーロン茶、牛乳)の付着過程、油性汚れ(トリオレイン)が付着した金属表面の洗浄過程の速度論的解析も行った。 タンパク質のステンレス鋼表面への付着過程はstreched exponential型の関数を含む形式の関数で良好に近似できることは昨年度明らかにしたが、さらに今年度は、D-factorの時間変化を測定・解析することで、タンパク質の付着層形成は、付着したタンパク質の再構成による緻密化を伴うことを明らかにした。そして、タンパク質の付着過程は、理想的な吸着過程であるラングミュア吸着過程とは異なること、ならびにその理由についても、一部明らかにした。 サケ抽出液、野菜ジュース、ウーロン茶、牛乳由来汚れの付着過程もリゾチームと同様にstreched exponential型の関数を含む形式の関数で良好に近似でき、近似の過程で求められる付着速度定数を用いることで、付着速度を定量的に評価できることが明らかとなった。 油性汚れ(トリオレイン)が付着したステンレス鋼表面の洗浄過程は、洗浄しやすさの異なる2つの汚れの脱離過程として解析可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
付着抑制技術の検討まで踏み込むことはできなかった一方で、様々な汚れの付着過程の定量モデル化解析ならびに得られた結果の物理的解釈が進展できたこと、脂質の洗浄過程の定量モデル化解析もほぼ成功したことから、研究全体としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
付着過程の定量モデル化解析は成功し、また脱離過程についても有用な知見がえられつつある。この結果を生かして、コーティングなどの付着抑制技術開発の定量的かつ効率的な実施を目指す。
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Causes of Carryover |
当初の想定と実際の購入価格ならびに旅費、人件費等に若干の違いが生じたため。ただし、平成28年度までの既受領額に対する次年度使用額の割合は0.025%と極めて少ない。そのため、おおむね予定通りに予算の執行は実施できたものと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験用消耗品(試薬類)の購入に用いる。
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