2016 Fiscal Year Research-status Report
ヒドロシリル化による超耐熱性を有するSiOCネットワーク設計と気体分離膜への応用
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15K06544
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金指 正言 広島大学, 工学研究院, 准教授 (10467764)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ゾル-ゲル法 / ヒドロシリル化 / SiOC構造 / 耐熱性 / 気体分離膜 / 分子ふるい |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,従来のオルガノシリカ膜の課題であった耐熱性を向上させるために,in-situヒドロシリル化反応によりSiOC構造を形成させた。具体的には,ビニル基とヒドロシリル基をそれぞれ有するプレカーサーを共加水分解,縮重合させSi-O-Si結合をコアとするSQポリマーを調製後,多孔質支持体上にSQポリマーをコーティングして,所定の条件でビニル基(SiCH=CH2)とヒドロシリル基(Si-H)をin-situヒドロシリル化させ,Si-C-C-Siネットワークを形成した。 本年度はthermal curingによるヒドロシリル化について検討した。KBr上にSQポリマーをコーティングしてFTIRにより反応性を評価した。酸化雰囲気ではビニル基の酸化,ヒドロシリル基がSi-OH基に変化することが明らかになった。そのため,不活性雰囲気(N2)で反応性を評価したところ,500℃以上でヒドロシリル化が進行した。ヒドロシリル化させたSiOCゲルを用いて耐酸化性について評価した。酸化処理前後の29Si-NMRを測定した結果,ヒドロシリル化によりネットワーク構造に形成されたSi-C-C-Si基は酸化処理後も残存する可能性が示された。 次年度に実際に気体分離膜を作製し透過特性を評価する必要があるため,気体透過装置を整備した。純ガスの透過特性と水蒸気存在下における膜性能変化をモニタリングできるようにした。耐熱性評価のため透過セルを石英ガラスで作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,従来のオルガノシリカ膜の課題であった耐熱性を向上させるために,in-situヒドロシリル化反応によりSiOC構造を形成する。そのため,silsesquioxane(SQ)ポリマー構造の制御が重要になる。初年度にSQポリマー調製条件の検討を行ない,本年度はヒドロシリル化反応条件について検討を行なった。Thermal curingによりヒドロシリル化させる場合は,不活性雰囲気で反応温度500℃以上であることが明らかになり,製膜条件に関する知見を得た。最終年度に気体分離膜を作製し透過特性を評価する必要があるため,気体透過装置の整備も行なった。 以上のように研究計画を順調に遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
①Silsesquioxane(SQ)ポリマーゾル調製条件の検討,またそれらに付随する特性評価(DLS,N2吸着,FTIR,29Si-NMR,13C-NMR etc)は昨年度に引き続き研究開発を継続するが,②製膜およびヒドロシリル化反応条件の最適化,③気体透過特性,耐熱性評価に重点を置いて研究遂行する。分離膜はこれまでに研究実績がある多孔質アルミナ管を用い,傾斜型構造を最適化することで製膜する。
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Causes of Carryover |
H29年度に膜分離に関連する国際会議が7月に米国,11月に韓国でそれぞれ開催されるため,成果発表,最新の研究動向を調査するため出席予定である。出張旅費,学会参加費を前年度よりも多く計上する必要がありH30年度に予算の一部を繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品消耗品:103万,旅費:45万,その他(学会参加費):30万
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Research Products
(9 results)