2015 Fiscal Year Research-status Report
超臨界二酸化炭素を用いる高速・高収率ポリ乳酸合成技術の開発
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15K06553
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
岡島 いづみ 静岡大学, 工学部, 助教 (40436910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孔 昌一 静岡大学, 工学部, 准教授 (60334637)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超臨界二酸化炭素 / ポリ乳酸 / 拡散係数 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は研究項目として、「有機分子触媒を用いたポリ乳酸合成反応特性の把握」、「超臨界二酸化炭素中でのポリ乳酸の合成反応機構の解析」を行った。一つ目の項目について、モノマーとしてL-ラクチド、触媒としてジアザビシクロウンデセン(DBU)を用いたポリ乳酸合成を行ったところ、60~70℃、10MPaの条件において、反応時間1時間で95%以上の収率を得ることができた。しかし70℃における合成では生成ポリ乳酸が黄色く着色しており、無着色なポリ乳酸を得るためには、60℃が最適温度であることを明らかにした。また60℃で合成した生成ポリ乳酸の重量平均分子量は、反応時間の経過と共に増加し、反応時間1時間で最大値の6.8万となった。それ以降は生成ポリ乳酸の分解も併発し、重量平均分子量は低下したが、反応時間全体において、生成ポリ乳酸の分散度は2以下となったことから、収率や重量平均分子量は反応時間に依存するが、分散度はあまり影響しないことが明らかになった。2つ目の項目について、クロマトグラフィックインパルス応答(CIR)法を用いて、35~60℃、8.0~30.0MPaの超臨界二酸化炭素中のL-ラクチドの拡散係数の測定を行った。その結果、拡散係数はどの温度においても圧力の低下に伴って大きくなり、臨界点付近では急激に大きくなった。さらに温度と圧力をパラメータとした、超臨界二酸化炭素中のL-ラクチドの拡散係数の相関式を確立し、本式を用いることで拡散係数を良好に表すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「有機分子触媒を用いたポリ乳酸合成反応特性の把握」については、当初予定していた収率95%以上、反応時間1時間以内で、無着色なポリ乳酸を安定して合成可能な反応条件を見出すことができた。また「超臨界二酸化炭素中でのポリ乳酸の合成反応機構の解析」については、超臨界二酸化炭素中でのモノマーと触媒の拡散係数の測定・推算を予定通り遂行することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は超臨界二酸化炭素中でN,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)を用いたポリ乳酸の合成反応実験を行い、反応温度、反応圧力、反応時間、モノマー濃度、重合開始剤濃度、触媒種、触媒濃度をパラメータとし、各条件で得られたポリ乳酸の収率、重量平均分子量、分子量の分散度の反応時間依存性を測定して、反応条件と収率及び重量平均分子量の関係性を明確にする。また平成27年度に取得したDBUを触媒として用いる反応条件に対する収率、重量平均分子量の関係のデータ等を基に、反応速度式の導出と反応速度解析を行う。また、ポリ乳酸中での超臨界二酸化炭素の拡散係数の測定・推算を行い、超臨界二酸化炭素中でのポリ乳酸合成の反応機構解明につなげる。
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