2016 Fiscal Year Research-status Report
既存製品生産実績データを活用した新規開発製品向けスケールアップ支援技術の開発
Project/Area Number |
15K06554
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加納 学 京都大学, 情報学研究科, 教授 (30263114)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スケールアップ / 操業条件最適化 / ベイズ的最適化 / 転移学習 / ソフトセンサー / 仮想計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
製造業では,実験室で新製品の開発に成功した後,段階的に装置サイズを大きくしながら,優れた製品を安定して製造できる運転条件を探索する.最終的には商用スケールの装置で運転条件を最適化する必要があるが,実験には多くの費用と時間がかかるため,商用スケールでの実験回数をできるだけ少なくしたい.本研究の目的は,この生産設備のスケールアップを支援する全く新しい方法を開発し,商用スケールでの少数の実験から効率的に運転条件を最適化できるようにすることである.本年度の研究では,実際の製剤造粒工程を対象にして,パイロットスケールおよび商用スケールの生産設備から取得したデータを用いて,昨年度に開発したCombined Task Bayesian Optimization (CTBO)の有効性を検証した.その結果,Just-In-Time型モデリングの一種である局所PLSと自己適応型差分進化法(jDE)を組み合わせる従来法やベイズ的最適化のみを用いる方法に比べて,少数の実験回数でより良い運転条件を導出できることを確認した.さらに,本年度の研究では,ラボスケールおよびパイロットスケールで得られた実験データを用いて,商用スケールに適用可能なソフトセンサー(品質推定モデル)を構築する方法を開発した.この方法では,異なる機器のデータを用いてモデルを構築し,その推定値への寄与が大きい入力変数を製造機器間差の小さい入力変数として選択することで,製造機器間差に対してロバストなソフトセンサーを構築する.提案法を流動層造粒工程における水分含量の推定に適用したところ,従来法に比べて推定誤差を1/5以下にすることができ,また,近赤外分光分析による推定精度と同等の結果を得ることができた.以上の研究成果により,製造業が抱える大きな課題の一つであったスケールアップ問題の克服に向けて大きく前進した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度に開発した操業条件最適化手法(CTBO)の有効性を,実際の製造設備から取得したデータで確認できたことに加えて,ラボスケールとパイロットスケールの生産設備のデータだけから商用スケールに適用可能なソフトセンサーを構築できる方法を開発できたことは,当初の計画を上回る成果である.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した手法をもとに,スケールアップ支援システムのプロトタイプを構築し,その有効性を検証する.さらに,研究成果の発表に力を入れる.
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Research Products
(7 results)