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2015 Fiscal Year Research-status Report

木材の熱分解と水熱脱水反応を組み合わせた糖脱水物への新転換ルート開拓

Research Project

Project/Area Number 15K06555
Research InstitutionKansai University

Principal Investigator

長谷川 功  関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (20346092)

Project Period (FY) 2015-10-21 – 2018-03-31
Keywords触媒・化学プロセス
Outline of Annual Research Achievements

初年度は、セルロースと糖から固体触媒としてスルホン化、あるいは金属を担持した木材炭化物を使用して、処理温度、触媒量などの反応条件が分解物質への転換に及ぼす影響の検討を行った。
実験方法としては、固体触媒と試料を種々の割合で混合したものと蒸留水約10mlをバッチ式金属反応器の中に入れ油浴中にて水熱分解を行った。油浴の温度を変化させ反応時間を2時間とし、触媒は単独と混合の効果を調べるため スルホン化、金属担持、それぞれの混合物、の3種類を用いた。反応終了後に水で急冷し、ろ過を行い固体残渣と溶液に分離した。また、水熱分解により得られた溶液に対して高速液体クロマトグラフィーを用いることにより生成物の定性、定量分析を行った。
その結果、どの触媒でも無触媒より分解率が高かったことから、触媒の効果が確認できた。次にスルホン化触媒を用いた場合が分解率、グルコースの収率が最も高く、セルロースの分解に対して最も有効であることがわかった。これはスルホン化のプロトンによるものと考えられる。また混合触媒を用いた場合、分解率、グルコースの収率は低かった。このことから少量の金属が共存するとプロトンによる加水分解を抑制するものと考えられる。一方で混合触媒を用い190℃で水熱分解を行うと有機酸収率が増大した。
有機酸への反応経路を調べるために、金属担持触媒とグルコースの比を変化させて得られた結果より、触媒量を多くするほどグルコースの未反応率が減少していること、無触媒のものと比べて重量比1:5 を用いた方がフルクトースの収率が高いことがわかった。また、有機酸の収率は最大で60%程に達した。これらのことから、有機酸への反応経路はセルロースがグルコースに一度加水分解された後、フルクトースに異性化してから有機酸に変化しているものと考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

作製した触媒について、どの触媒でも無触媒より基質有機物の分解率が高かったことから、触媒の効果として分解促進能が確認できた。また、スルホン化と担持金属の効果それぞれについて明らかにするとともに、混合時にはスルホ基のプロトンの抑制に繋がることがわかった。従って、グルコースに分解後、金属担持触媒を用いる二段階の分解により、高収率な有機酸の回収に繋がる可能性が示されたため、順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

研究計画のとおり、既設の熱重量測定装置と横型ガス流通式熱分解炉を用いて、所定の昇温プロファイルのもと熱分解を実施し固体収率変化とともに揮発生成物収率を追跡する。以上の結果から、多糖類タール収率やチャー収率とバイオマス成分割合の関係に及ぼすタール分子量と加熱処理条件の提示を行う。重質タール生成を抑制するための熱分解条件を定量的に評価する予定である。原料として乾燥バイオマスを想定し、その構成成分の多糖類を選択的に分解する方法を検討する。

Causes of Carryover

本研究課題の採択決定が年度後半の追加採択であり、学会や研究会の開催繁忙期を過ぎており、それらに情報収集するための出張、参加する機会がなく、旅費への支出は0となった。また、実験に必要なガスや試薬などの消耗品の消費量も期間が短いため少なくすみ、消耗品を中心とする物品費への支出も当初計上していた額より小さくなったため、次年度使用額が生じた。

Expenditure Plan for Carryover Budget

消耗品費として頻度が高いガラス器具やステンレス配管部品、分析用及び反応用ガス、試薬類に使用する予定である。分析機器用の消耗品として、熱天秤の白金セルや液体クロマトグラフ用のカラムも定期的な交換が必要なため購入予定である。旅費に関しては、関連研究発表が多い学会への動向調査と成果発表のための出張を予定している。また、研究計画に従い液体クロマトグラフUV-VIS吸光度検出器を購入する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 炭化物を触媒として用いたセルロースの水熱分解2016

    • Author(s)
      寳 巧、長谷川 功、林 順一
    • Organizer
      第18回化学工学会学生発表会
    • Place of Presentation
      福岡大学(福岡市城南区)
    • Year and Date
      2016-03-05

URL: 

Published: 2017-01-06  

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