2017 Fiscal Year Annual Research Report
Dehydrated sugars production by combining hydrothermal and thermal decomposition of wood
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15K06555
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
長谷川 功 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (20346092)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 熱分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度ではバイオマスとして乾燥させた杉粉末を試料に用いて、熱分解においてタール中のリグニンタールの生成挙動を調べ、その生成の抑制を目的とした。なぜならば、セルロースなどの多糖類から多糖類由来タールを主成分として得たいためである。熱分解によるタールの生成とその分析を行うことで、タール生成におけるは反応温度、保持時間の影響を検討した。温度としては300 ℃より高温域での熱分解を検討した。 まず、熱分解温度を上げたときのタール中に含有するリグニン由来濃度を測定した。タールの生成量の増加とともにリグニンタールも増加する傾向がみられることがわかった。タール内のリグニンタール含有率を算出したところ、おおよそセルロースの熱分解の進行が終了とみられる400℃時点で20%以下となった。また、タール生成量は少ないが、含有率は300℃までの昇温時点で最も少ない結果となった。低温ではヘミセルロースとセルロースがリグニンよりも分解速度が速いためと考えられる。 一方、300℃で保持を行った際のリグニンタールを検討すると、60 min保持までは生成量および含有率は増加する傾向のままだが、120 min保持時点では生成量の増加は見られないが、タール全体の生成量増加により含有率の低減が確認できた。これは300℃で保持することにより、リグニンの結合中で切断される部位の量に制限があるためと考えられる。 以上により、木材中からリグニンができるだけタールに含有することを抑制しつつ、多糖類由来のタールへ変換できた。研究期間全体を通じて得た知見により、木材中の多糖類から糖脱水物の収率増加という目的は達成された。
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