2016 Fiscal Year Research-status Report
木質バイオマス完全高度利用に向けた芳香族置換基変換反応の確立
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15K06564
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中川 善直 東北大学, 工学研究科, 准教授 (10436545)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | メトキシ基除去 / アジピン酸合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
木質バイオマス中のリグニン由来化合物として、グアイアコール誘導体および4-アルキルフェノール(p-クレゾール、4-プロピルフェノール)に着目した。グアイアコール誘導体の2-メトキシシクロヘキサンの脱水素脱メタノール反応を検討し、高圧回分式反応器、Pt/C触媒、493 K、水溶媒の条件で44%収率でフェノールおよびその水素化物を得た。ソックスレー型の反応器も試したが、温度制約が大きく反応はほとんど進行しなかった。Pd触媒では単純脱水素と生成した水素による2-メトキシシクロヘキサノールへの水素化が主に進行し、Ru触媒では脱メチル生成物が多く生成した。RhはPtより明白に低活性となった。 また、2-ヒドロキシシクロヘキサノンの酸化反応を検討し、バナジウム-炭素触媒にさらにヘテロポリ酸を加えた触媒系で80%以上の収率でアジピン酸を得た。添加する炭素は表面官能基が豊富な活性炭素が適していた。アルコール溶媒では高収率のアジピン酸エステル合成が報告されているが、水溶媒かつ低酸素圧力での高収率の報告例は初であり、触媒も安価である(論文投稿中)。 4-アルキルフェノールの酸化について、論文でいくつか報告のある強塩基性条件では論文通りの高収率は再現されず、タール分と推定される重合物の大量の生成が見られた。基質をp-クレゾールとし、昨年見いだしたPtとPdの混合触媒系、酸性条件下の酸化で条件検討を行ったところ、25%収率でp-ヒドロキシベンズアルデヒドを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度遅れが出ていた脱水素脱メタノール反応は、高圧回分式反応器の利用により意味のある収率が得られるようになり、大きく進展したと言える。4-アルキルフェノールの酸化は、いくつか論文がある強塩基条件の酸化に比べて有用な酸性条件の酸化でそこそこの収率が得られ、これも進展したと言える。さらに、2-ヒドロキシシクロヘキサノンの酸化によるアジピン酸合成の成功により、別ルートでのアジピン酸合成の可能性も見えてきた。以上から、概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
それぞれの反応について触媒の改良を実施し、それぞれ論文にまとめる。2-ヒドロキシシクロヘキサノン酸化の触媒系を拡張し、2-メトキシシクロヘキサノンの酸化によるアジピン酸合成を検討する。
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Research Products
(3 results)