2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K06589
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
山崎 智彦 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 機能性材料研究拠点, 主幹研究員 (50419264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 千晶 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (10447930)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トール様受容体 / 免疫活性化 / アジュバンド / インフラマソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は研究実施計画に従い、(1)トール様受容体9(toll like receptor 9; TLR9)のヘミン認識機構の解明、(2)ヘミン誘導体の免疫活性化能の評価を実施した。 (1)TLR9のヘミン認識機構の解明 一昨年までの研究で、ヘミン誘導体の免疫活性化がTLR9以外のTLRが起因している可能性が示された。そこで本研究では、マウスマクロファージ細胞株であるRAW 264.7ならびにヒト単球由来の細胞株THP-1を用いてこれらの細胞内でのTLRを介した免疫活性化能を評価した。核内因子(nuclear factor-kappa B; NFk-B)ならびにactivator protein 1(AP-1)誘導性のプロモーター制御下で分泌型アルカリフォスファターゼ(secreted embryonic alkaline phosphatase; SEAP)を発現する安定株RAW-BlueならびにTHP1-XBlueにヘミン誘導体を添加した際のSEAPの発現を調べたところいずれに株においてもSEAPの顕著な発現は観察されなかった。このことからヘミン誘導体はTLR以外のレセプター分子により認識されている可能性が示された。 (2) ヘミン誘導体の免疫活性化能の評価 合成したヘミン誘導体がヒト末梢血単核細胞においてインターロイキン6ならびにインターフェロンγを誘導していたことから、インフラマソームによりこれらの因子が誘導されているかどうかを調べた。その結果、ヘミン誘導体はインフラマソームを活性化させないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に従って成果が得られていることから順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は研究実施計画に従い、ヘミン誘導体の免疫活性化能の評価を進める。細胞を用いた評価では、免疫活性化の指標となるインターロイキン6ならびにインターフェロンγを誘導していることが示されており、抗原物質と一緒に注射することで抗原特異的な抗体の生産を増強するアジュバンド効果が期待される。このことを証明するために、マウスを用いてヘミン誘導体の評価を行う。具体的にはヘミン誘導体とオブアルブミンをマウス尾静脈に投与し、マウス血液中に産出される抗オブアルブミン抗体を定量することにより、評価を行う。
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Causes of Carryover |
本研究を実施する前に行ったパイロットスタディで購入した試薬類と消耗品を引き続き利用したために、新規に購入する物品費が予定額を下回った。また、平成28年度は年間を通して研究業務員1名を雇用する予定としていたが、雇用期間が短くなったために人件費・謝金が予定額を下回った。以上のことから、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度分として請求した助成金(1,500千円)と併せて、研究業務員1名分の人件費として1,300千円、試薬代・消耗品代として800千円、論文2報分の投稿のためにかかる費用(英文校正代、投稿代)として300千円を使用する。
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Research Products
(6 results)