2016 Fiscal Year Research-status Report
オリゴペプチド固定化基板上におけるES細胞並びにiPS細胞の培養と分化
Project/Area Number |
15K06591
|
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
樋口 亜紺 国立研究開発法人理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 客員研究員 (30189766)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 細胞培養 / 幹細胞 / ナノセグメント / 細胞接着分子 / ハイドロゲル / 再生医療 / バイオマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトES細胞並びにiPS細胞は、幹細胞療法並びに再生医療への有効性が期待されている。しかしながら、これらの幹細胞を動物由来の物質を持ちいずに、多分化能を維持した状態で培養することが必須である。現在、ES細胞並びにiPS細胞は、線維芽細胞上あるいはマウス癌細胞由来のマトリゲル上で培養することが一般的手法である。非動物由来の材料で、ES細胞並びにiPS細胞培養用基板を開発することは、再生医療分野で必須のプロセスである。本年度は、様々な架橋度(剛性 /弾性)を有するポリビニルアルコールハイドロゲル上にナノセグメント(細胞接着因子ペプチド(ビトロネクチン由来オリゴペプチド;KGGPQVTRGDVFTMP (VN1)、GGGGKGGPQVTRGDVFTMP (VN1G), GCGGKGGPQVTRGDVFTMP (VN2C), GKKQRFRHRNRKG (HBP1), GCGGGKKQRFRHRNRKG (HBP2C) 並びにKGGNGEPRGDTYRAY (BSP))固定化細胞培養基板上でヒトES細胞(H9)並びにヒトiPS細胞をXeno-フリー培地[Essential 8]中で培養した。25.3 Kpaの弾性率を有するハイドロゲルは、iPS細胞並びにES細胞をXeno-free状態で長期間培養することに成功した。特に、ジョイントセグメントのあるVN1Gナノセグメント並びに2本鎖を有するVN2Gナノセグメントをハイトロゲル上に固定化した基板は、ヒトES細胞(H9)並びにヒトiPS細胞の培養に特に優れていた。本研究の結果、細胞培養基板の物理特性(弾性率)並びに生物学的特性(特異的細胞接着オリゴペプチド)は、ヒトES細胞(H9)並びにヒトiPS細胞の培養に重要であることを明らかとした。 本研究の成果は、Scientific Reports 7 (2017) 45146に掲載された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
非動物由来の材料でES細胞並びにiPS細胞培養用基板を開発して、Xeno-フリー培地[Essential 8]中でES細胞並びにiPS細胞を培養するのに成功した。 様々な架橋度(剛性 /弾性)を有するポリビニルアルコールハイドロゲル上にナノセグメント(細胞接着因子ペプチド(ビトロネクチン由来オリゴペプチド;KGGPQVTRGDVFTMP (VN1)、GGGGKGGPQVTRGDVFTMP (VN1G), GCGGKGGPQVTRGDVFTMP (VN2C), GKKQRFRHRNRKG (HBP1), GCGGGKKQRFRHRNRKG (HBP2C) 並びにKGGNGEPRGDTYRAY (BSP))固定化細胞培養基板上でヒトES細胞(H9)並びにヒトiPS細胞をXeno-フリー培地[Essential 8]中で培養することに成功した。 25.3 Kpaの弾性率を有するハイドロゲルは、iPS細胞並びにES細胞をXeno-free状態で長期間培養することに成功した。特に、ジョイントセグメントのあるVN1Gナノセグメント並びに2本鎖を有するVN2Gナノセグメントをハイトロゲル上に固定化した基板は、ヒトES細胞(H9)並びにヒトiPS細胞の培養に特に優れていた。本研究の結果、細胞培養基板の物理特性(弾性率)並びに生物学的特性(特異的細胞接着オリゴペプチド)は、ヒトES細胞(H9)並びにヒトiPS細胞の培養に重要であることを明らかとした。 本研究の成果は、Scientific Reports 7 (2017) 45146等に掲載された。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、ES細胞並びにiPS細胞の効率的に分化可能な細胞培養基板の開発に着手する計画である。特に心筋細胞への分化に着目して、いかなる架橋度(剛性 /弾性)を有するポリビニルアルコールハイドロゲルが心筋細胞への分化に有効なのか、さらにいかなる細胞接着因子ペプチドが心筋細胞への分化に有効なのかを評価する予定である。 このために、ナノセグメント(ECM並びに細胞接着因子ペプチド、(ECM, フィブロネクチン、コラーゲン、ビトロネクチン、ラミニン、マトリゲル)並びに細胞接着因子ペプチド(ビトロネクチン由来オリゴペプチド;KGGPQVTRGDVFTMP、GKKQRFRHRNRKG並びにKGGNGEPRGDTYRAYさらにフィブロネクチン由来オリゴペプチド;KGGAVTGRGDSPASS、KYGAASIKVAVSADR、RGDS, CS-1, DEGA, IKVAV, PDSGR, YIGSR等))固定化細胞培養基板上でヒトES細胞(H9)並びにヒトiPS細胞を心筋細胞に分化させ、キャラクタリゼーションを行っていく予定である。 さらに、これまでの研究成果を、高インパクトファクター雑誌、Science Advances (投稿中)等に研究成果を発表する予定である。
|