2015 Fiscal Year Research-status Report
多種の脳内神経伝達物質を同時検出するための蛍光プローブの創製と医療診断への展開
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15K06592
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鈴木 祥夫 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 主任研究員 (60321907)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経伝達物質 / 蛍光 / センサー / 分子プローブ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、これまでに本申請者によって開発したタンパク質、核酸をはじめとする生体関連物質検出用蛍光分子プローブを改良し、ドーパミンおよびオキシトシンをそれぞれ特異的に検出するための化合物の設計及び合成を中心に行った。具体的には、ドーパミンに対してはイミノ二酢酸-鉄錯体、オキシトシンに対してはバソプレッシンを認識部位として採用した。さらに上記認識部位に蛍光発色団を導入する上で、①標的物質(ドーパミンおよびオキシトシン)との反応前後において蛍光強度が大きく変化すること、②ドーパミンとオキシトシンを2種類の分子プローブで同時に検出するため(最終的には1種類の分子プローブで同時検出を実施)、各々のプローブの励起波長および蛍光波長が重ならないこと、を考慮し、ドーパミン検出用蛍光分子プローブにおいては、蛍光発色団としてダンシル基等を有し、ドーパミン認識部位としてイミノ二酢酸-鉄錯体を併せ持つ複数の化合物を系統的に合成した。また、オキシトシン検出用分子プローブについては、認識部位としてバソプレッシンを、蛍光発色団として標的物質との相互作用による分子内のICT状態の変化によって強い蛍光発光を示すシアノピラニル基を有する化合物を系統的に合成した。また、ダンシル基の蛍光波長とシアノピラニル基の励起波長が重なる場合、蛍光の再吸収過程等によりダンシル基の蛍光が消光される恐れがあるため、シアノピラニル基側の二重結合の数を変えて共役系を伸長させることによって励起波長の長波長化を促し、互いのスペクトルが重ならないように出来ることも確認した。合成した化合物の確認は、1H-NMR、質量分析を用いて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、神経伝達物質を検出するための化合物の設計、合成を完了することであり、当初の目標を達成することが出来たため
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、神経伝達物質を検出するための蛍光分子プローブの合成を続けながら、合成が終了した分子プローブの性能評価を行う。
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Causes of Carryover |
28年度に購入予定の顕微鏡について、当初購入予定の装置よりも、より高価で高性能な装置が必要となった。このため、本年度の繰り越し分を機器購入に充てる必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
開発した分子プローブの性能評価を行うために必要な実験機器の購入を行う。
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Research Products
(4 results)