2015 Fiscal Year Research-status Report
超音速乱流混合過程のマッハ数依存性解明と混合促進法の開発
Project/Area Number |
15K06605
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
新井 隆景 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10175945)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 昇史 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70244655)
比江島 俊彦 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60316007)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スクラムジェットエンジン / 超音速混合 / 混合促進 / 縦渦 / 渦崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
スクラムジェットエンジン内の超音速混合過程の解明と混合促進法を提案する目的から、超音速縦渦を混合促進に用いる方法について、特に、マッハ数依存性について実験的な検討を行った。 マッハ数は2から3の範囲で実験を行った。その結果、マッハ数が増加すると縦渦によって作られる混合場の循環(縦渦の強さ)が減少することが明らかとなった。渦レイノルズ数(循環に基づくレイノルズ数)で整理すると、縦渦形成初期の渦レイノルズ数が約10,000を超える場合には、渦崩壊が生じ、粘性効果と考えられる循環の減少が観察された。しかし、マッハ数3の場合は、渦レイノルズ数が約10,000より小さく、渦崩壊が起こりずらく、循環の値もわずかの減少にとどまった。すなわち、スクラムジェットエンジンを広範囲のマッハ数(より高いマッハ数)で使用するためには、エンジン内のマッハ数も高くする必要があるので、上述のマッハ数3の場合について特に改善する必要がある。 以上から、超音速縦渦を混合促進に用いる場合には、縦渦が形成する混合場の循環の大きさがきわめて重要であることが分かった。そこで、縦渦形成時の流れ場を詳細に検討したところ、縦渦導入装置に流入する境界層の性質(層流、乱流、境界層厚さ)に循環の値が依存することが分かった。具体的には、マッハ数が増加すると、境界層は層流化し、縦渦導入装置の圧縮斜面や膨張斜面で容易に剥離すること、境界層が厚いと圧縮斜面と膨張斜面とで作られる速度差が小さくなること、が分かった。したがって、高マッハ数においても、流入境界層を乱流化し、しかも境界層厚さを薄く保つ工夫が必要である。 以上まとめると、(1)高まマッハ数では混合性能が悪くなること、(2)その閾値は渦レイノルズ数で約10,000であること、(3)縦渦が形成する循環は流入する境界層の性質に依存すること、が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音速縦渦を用いた超音速混合現象に関し、マッハ数の影響を明らかにし、その主たる要因をほぼ特定できた。そのことを考慮して、現在、縦渦導入装置の改良を行ってあり、予備実験をするまで来ている。マッハ数が3までの実験が可能であるが、もう少し高マッハ数領域までの実験データを取りたいと考えている。吸い込み式超音速風洞では限界があるが、実現しようと考えている。 以上により、本研究課題はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)高マッハ数領域でも高い混合能を有する縦渦導入装置として、後退角を持つ装置を考え予備実験を行っている。今後は、この装置で作られる混合場のマッハ数依存性を明らかにし、有用性を示す。 (2)縦渦導入装置に流入する境界層を制御し、境界層を乱流化しつつ、その厚さを抑える方法を検討する。 (3)LIF法を導入し、流れ場と同時に混合場(濃度場)を計測し、混合に有利な流れ場の検討を行う。
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Causes of Carryover |
風洞改修予定を次年度としたため、材料費等の執行が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
風洞改修を予定しており、材料費等に充当する。
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