2016 Fiscal Year Research-status Report
モールド成形が可能な高耐熱・高強度CNT/ポリイミド複合材料の研究
Project/Area Number |
15K06610
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
石田 雄一 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (20371114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小笠原 俊夫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20344244)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ナノ複合材 / カーボンナノチューブ / ポリイミド |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンナノチューブ(CNT)は優れた力学・耐熱特性と硬いアスペクト比をもっていることから、複合材料の強化材として期待されている。特に近年、CNTをシリコン基板上に垂直に生成し、その一端を平行に引きガスことでCNTを一方向に配向させたシートを作製する技術が確立した。一方、ガラス転移温度が300℃以上あり、機械的・化学的特性にすぐれるポリイミド樹脂(PI)が、航空宇宙分野などでは耐熱性樹脂として利用されている。そのため、配向CNTとPIを組み合わせることで優れた力学特性、成形性、耐熱性を有する複合材料の開発が期待されている。本研究では、航空機のエンジン部のような高温部に適用することを目的として、CNT/PI複合材料の開発を行った。PI樹脂には熱硬化性樹脂TriA-Xと熱可塑性樹脂ISAS-TPIを質量比1:2で混ぜ合わせた混合PIを用いた。複合材料の作製方法は、CNTシートとPIフィルムをそれぞれ複数枚作製しておき、それらを交互に重ね合わせて加熱・加圧することでPIをCNT繊維間に含浸させるという方法である。この方法により作製した複合材料の断面をSEMで観察したところ、CNTの層とPIフィルムの層とではっきりとわかれており、含浸が不十分であることが確認できた。これはPIをフィルム化していたためにあまり溶融しなかったことが原因ではないかと考え、作製方法の改善を試みた。そして、CNTシート上にPI樹脂を溶液の状態で流延塗布し、溶媒を除去したものを重ね合わせ、加熱・加圧することで複合材料とするという作製方法を考案した。この方法で作製した複合材料の断面をSEMで観察したところ、CNT繊維間にPI樹脂が入り込んでいる様子が確認でき、CNTシートを5枚用いたCNT/PI複合材料(厚さ約0.1mm)を試作できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フィルム含浸法での配向CNT/ポリイミド複合材料の製作に手間取り、溶液含浸法で解決したものの厚さ0.1mmまでにとどまっており、高温強度評価や金型による成形実験も次年度となった。
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Strategy for Future Research Activity |
厚さ0.2mm以上のバルク試験片を試作し、室温のみならず高温(300℃まで)の力学特性も評価する。CNT配向角度分布や、ボイドなどの影響について詳細な検討を行う。更にマイクロ/ナノ領域における変形・破壊挙動に関して、提案者らが既に開発したNano-pull-out評価システム、in-situ SEM引張り試験システム、in-situ TEM引張り試験システムなどを適用して実施し、破壊挙動の直接観察や、界面力学特性などの評価を進める。 また、主要課題であるプリプレグのモールド成形プロセスに関する技術検討にも着手する。
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Causes of Carryover |
厚さ0.1mm程度の配向CNT/ポリイミド複合材の製作に手間取り、モールド成形用の金型製作などが次年度にずれこんだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
モールド成形用金型の製作等に使用する。
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