2015 Fiscal Year Research-status Report
舶用2ストロークディーゼル主機関の運転特性に及ぼす負荷変動の影響
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15K06616
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
塚本 達郎 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (50207346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 秀次 東京海洋大学, その他部局等, 助手 (00554958)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 舶用ディーゼル機関 / 排ガス計測 / 窒素酸化物 / 粒子状物質 / 負荷変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度(平成27年度)は、計測システムとそれらのデータロギングシステムの構築、システムの試運転調整と機関低負荷率運転時の負荷単一変化の排ガス計測を中心に研究を行った。 研究に使用する直挿式窒素酸化物センサ(ジルコニアセンサ)は、ガス接触部の耐熱性は高いが、センサ本体の計装線接続部およびハーネス部は耐熱性が劣る。排ガス中の窒素酸化物濃度の計測法が規定された国際海事機関(IMO)テクニカルコードでは煙道直径の10~90 %まで挿入を行うことが規定されており、排気管内に突起する形の、取付アダプタを作成しその先端にセンサを装着する必要がある。また、舶用ディーゼル機関の排気管は自動車等の小型の機関と比較して排気管径が大きく、センサの取付アダプタが高温な排ガスにさらされる面積が大きいためセンサの耐熱が劣る部分の熱対策が必要であった。 最初に直挿式の窒素酸化物センサの供試機関に適した取付アダプタの設計を行い試作を行った。その後、空冷、水冷を用いてセンサ計装線接続部とハーネス部の冷却機構作成して熱対策を行うことで連続的計測を行う事を可能とするとともに、データ解析の際に必要となる、機関回転数、トルク等を同時に記録できる計測システムの構築・整備を実施した。 次に、構築した計測システムを使用して、機関低負荷時の直挿式窒素酸化物センサ(ジルコニアセンサ)と、ガスサンプリング式窒素酸化計(化学発光式)の同時計測を実施した。計測時には機関に単一の負荷変化を与えることで、2種類の窒素酸化物計測装置の応答性検討も実施した。計測の結果、2種類のセンサが示す窒素酸化物濃度は、ガスサンプリングに費やす時間を除き、濃度上昇時、濃度下降時もほぼ等しい応答性を示すことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度(平成27年度)研究実施計画と、進捗状況を比較すると予定していた実験・計測で実施できていないものがあり、やや遅れている。その理由として直挿式窒素酸化物センサ(ジルコニアセンサ)の熱対策等の問題点解決、アダプタ等の試作、試運転調整に時間を要したためである。 計測に使用するセンサの一部は、価格面等の問題から自動車の排ガス計測用途に設計されている機器を転用した物が含まれいる。舶用ディーゼル機関の計測を行う場合には、それらの用途変更の対策を行う必要があることが判明(特に熱対策)し、その対策に予想以上の時間を費やす結果となった。なお、これらの予期しなかった問題は概ね初年度(平成27年度)で実施、解決済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で報告したとおり、実施計画に対してやや遅れが生じており、最初にその遅れを取戻すため、研究計画の組み替えと研究推進を行う。 次年度(平成28年度)は、最初に2種類の窒素酸化物センサ(ジルコニアセンサ、化学発光式)の特性把握を実施する。この特性把握は、初年度に把握した知見を元に、機関の高負荷率の排ガス計測時の差異や、計測される濃度(湿り排ガス濃度、乾き排ガス濃度)に関する特性把握も実施する。それぞれのセンサによって計測される濃度と変化時の特性を把握の上、燃料消費率、窒素酸化物濃度、その他ガス濃度に関する排出マップの作成を実施する。 平成27年度実施計画分の項目に関しては、実施の準備は概ね整っており、今年度第1四半期に完了させる予定である。なお、進捗状況でも報告したとおり、予期しなかった対策に関しては初年度(平成27年度)に概ね実施済みであり、今後、研究推進に使用する時間を増加(エフォートの増加)すると同時に、並列して実施できる項目の整理を行うことで研究の推進を行う。また、四半期毎に進捗状況の確認を実施することで進捗管理を実施する。
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Causes of Carryover |
初年度(平成27年度)は、実施項目として計測機器運用に伴う熱対策等の問題点解決、アダプタ等の試作、試運転調整(計測機器関連の整備、構築)が主な事項となった。初年度(平成27年度)研究経費(直接経費)は、燃料油購入、潤滑油購入等の機関運転に関する経費が大きく占めている。研究実施では、「計測機器関連の整備、構築」→「実験の実施」→「データ解析・考察等」の順で進めるが、現在までの進捗状況で報告したとおり、実施計画に対してやや遅れが生じ、「計測機器関連の整備、構築」に時間を費やしており、実験の実施部分で予定していた、機関運転に関する経費の使用率が低下したため次年度使用額が生じたものである。 なお、今後の研究の推進方策等で報告の通り、初年度実施計画の項目は次年度(平成28年度)最初に実施する予定であり、準備も概ね完了している段階であるため、次年度使用額として計上している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度(平成28年度)は、実験から開始する予定であり、経費の利用では機関運転に関する経費が大部分を占める。そのため、機関運転に関する経費は、当初の平成28年度計画より増加するとともに、実施項目は平成27年度の未実施項目と平成28年度実施項目となることから、次年度使用額を含めて使用していく予定である。
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