2016 Fiscal Year Research-status Report
造船用ミリオーダー接着層厚の鋼/CFRP構造接着継手の長期信頼性評価法の構築
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15K06629
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Research Institution | National Institute of Maritime, Port and Aviation Technology |
Principal Investigator |
岩田 知明 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 海上技術安全研究所 構造基盤技術系, 基盤技術研究グループ長 (50358397)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 構造用接着剤 / 異種材接合 / 造船 / ミリオーダー接着層厚 / 引張せん断強度 / CFRP / 鋼 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の強度評価試験結果から、3種類の候補接着剤(C:金属への接着力が高い、N:金属及び樹脂への接着性が良い、S:厚膜でも樹脂への接着性が良い)のうち界面破壊率が低く最大引張せん断強度と伸びが最も大きいCが、本研究での評価対象となる鋼-CFRP異種材接合に対応した造船向けミリオーダー接着層用に適した接着剤として選定された。 Cは主な被着体として金属を想定しており、鋼-CFRP異種材接合部について、造船用ミリオーダー接着層厚を想定した3mmでの強度データだけでなく、その比較対象となる接着層厚1mmでの強度データが不十分であった。そこで、研究代表者が過去に実施した同種材接合部の強度データとも比較した評価を行うため、接着層厚が1mmと3mmの場合について3温湿度条件での高温高湿劣化促進試験を行った。 劣化促進試験前では、接着剤Nと接着剤SがCFRP被着面側でほとんど界面破壊となったのに対して、接着剤Cの界面破壊率は5~40%となり、CがNとSより優れている。しかしながら、Cにおいても50℃90%RHでの100時間後ではCFRP被着面側ですべて界面破壊となった。一方、劣化促進前の初期の引張せん断強度は、Al-Alの同種接合部に対して鋼-CFRP異種材接合部は、1mm厚と3mm厚のどちらも約60%程度である(NとSは更に低い)。しかしながら、50℃90%RHでの2000時間超後では、鋼-CFRP異種材接合部の強度はAl-Al接合部の強度に対して、1mm厚ではほぼ等しく、3mm厚では約85%であり、また、1000時間を超えると鋼被着面側でCFRP被着面側より先に界面破壊となる場合も生じた。よって、金属向けの接着剤Cではあるが、高温高湿環境下で使用する場合、CFRP被着面側の方が劣化しにくく、CFRP用としても適していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では、平成28年度は、接着層厚が3mmのみの一種類で高温高湿劣化促進試験を3温度条件×3湿度条件の9温湿度条件で行い、湿度毎のアレニウスプロットにより評価を行うアイリングモデルを用いて経時変化推定曲線を求める予定であった。しかしながら、平成27年度の強度評価試験結果から、鋼-CFRP異種材接合に対応した造船向けミリオーダー接着層用に適した構造用接着剤として選定した接着剤は、主な被着体として金属を想定しており、鋼-CFRP異種材接合部について、造船用ミリオーダー接着層厚を想定した3mmでの強度データだけでなく、その比較対象となる接着層厚1mmでの強度データも不十分であった。そこで、研究代表者が過去に実施した同種材接合部の強度データとも比較した評価が行えるようにするため、接着層厚が1mmと3mmの場合について3温湿度条件での高温高湿劣化促進試験を行うこととした。この変更は、申請時の研究が当初計画通りに進まない時の対応として検討していた、「進捗状況により計画を調整する必要が生じた場合は、湿度条件を1条件のみとし、アイリングモデル(温度・湿度9条件)からアレニウス法(温度3条件)に切り替えて実施する」に該当し、事前に検討されていた範囲内での計画変更であり、異なる二種類の接着層厚について経時変化推定曲線を求めることができた。 また、高温高湿劣化促進試験の試験条件に合わせて平成29年度に予定している試験も、当初計画より充実させて1mmと3mmの二種類の接着層厚で実施する必要が生じたが、試験片を予定より早期に製作して試験を開始し、計画通りに完了させるため、平成28年度中に平成29年度用のCFRP板の製作に必要となる材料を先行して調達した。 以上より、おおむね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画通り、平成29年度は、湿潤・乾燥繰り返し試験により強度回復率関係曲線を導出し、平成28年度に実施した高温高湿劣化促進試験により得られた加速寿命予測式を補正する。劣化促進と乾燥の日数の組合せは確立された手法がないため、造船所と協議の上決定する。また、キセノンランプ促進暴露試験から紫外線劣化係数を求め、高温・高湿劣化係数と組み合わせた長期接着強度予測式を考案する。第6回World Congress on Adhesion and Related Phenomena (WCARP-VI)および船舶海洋工学会などの国内の講演会で発表を行う。
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Causes of Carryover |
平成28年度の高温高湿劣化促進試験は、接着層厚が3mmのみの一種類について9温湿度条件で行う計画であったが、研究実績の概要や現在までの進捗状況に記載したとおり、接着層厚が1mmと3mmの場合の2種類での3温湿度条件へ変更となった。高温高湿劣化促進試験の試験条件に合わせて平成29年度に予定している試験も二種類の接着層厚で実施する必要が生じた。申請時の計画より多く必要となる平成29年度の試験片製作費を確保するため、平成28年度中に平成29年度用のCFRP板の製作に必要となる材料を調達すると共に、平成28年度中に使用する試験片の被着体としてのCFRP板を、研究代表者の組織が所有する、装置・材料を用いて内作し、試験片製作全体に必要な費用を抑制した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記節約により生じた次年度使用額を用いて、湿潤・乾燥繰り返し試験、キセノンランプ促進暴露試験のいずれも高温高湿劣化促進試験と同様に当初計画より充実させて、接着層厚が1mmと3mmの場合について製作して実施する。
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