2015 Fiscal Year Research-status Report
骨材生産から発生する砕石粉じんのリアルタイム多点モニタリングシステムの開発
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15K06634
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
齊藤 貢 岩手大学, 工学部, 准教授 (20271843)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | ミクロ繊維シート / 飛散粉じんモニタリング / 画像解析 / 太陽光パネル |
Outline of Annual Research Achievements |
H27年度は、新たな飛散粉じんモニタリングの可能性の検討として、①ミクロ繊維シート(MFS)表面の画像解析による吸着粉じん(PM)量の推定が可能かどうかの検討、②MFSの吸着粉じん量が及ぼす太陽光パネルの起電力への影響についての検討を行った。 ①については、PMの色の違い(砕石岩種が異なると色彩が異なることへの対応)による画像解析結果の変化を明確にするため、様々な色彩および質量の模擬PMをMFSモニタリング材に満遍なく散布し、MFS表面の画像解析(有色ピクセル法)結果とPM吸着量との関係を検討した。有色ピクセル法とは、MFS表面にPMが吸着したことで有色と判断されたピクセル数とMFS画像の全ピクセル数を比で表したオリジナル解析法である。 その結果、RGB値を用いた有色ピクセル比とPM吸着量には高い一次線形の関係が認められた。また、B値を用いた有色ピクセル比とPM吸着量には高い一次線形の関係が認められた。さらに、B値を用いた有色ピクセル比は、白色系の色を除いた様々な色のPMに対して一次回帰式の傾きが近似化されたため、色彩の異なる様々な岩種において現場での画像撮影による砕石飛散粉じんの簡易モニタリングに利用できる可能性が示唆された。 ②については、様々な吸着PM量に対する2枚の太陽光パネル(1枚はMFSを被覆しPMを吸着させたモニタリング用パネル、1枚は何も被覆しない参照用パネル)の起電力差と参照用パネルの起電力量の関係をプロットし、それらの関係を検討した。 その結果、2枚の太陽光パネルの起電力差と参照用パネルの起電力量には決定係数0.98と非常に高い一次線形の関係が見られた。起電力差を用いたモニタリング法の可能性が示唆されたため、現場実験を行うための太陽光パネル・小型マイコン・太陽電池バッテリー・記録装置等を組み込んだ簡易のモニタリング装置を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に計画していた新たな飛散粉じんモニタリングの可能性について、①画像解析を用いる方法、②光量変化を利用する方法ともに、H27年度に行った模擬粉じんを用いた室内実験の段階では概ね良好な結果が得られている。ただし、①の画像解析を用いた方法では、白色系の粉じんに対してはモニタリングが難しい結果となったため、砕石場で飛散しているどの程度の白色系(無色)色彩であればモニタリングできるのかについてはさらなる検討が必要である。また、②の光量変化を用いた方法では、飛散粉じん量が作業環境の許容濃度を超えた場合にLEDランプで視認できるシステムを構築したが、「安全域」ランプ(緑色LED)から「危険域」ランプ(赤色LED)に切り替わる途中に「注意域」ランプの領域をどのように設定するかについては検討する必要がある。 砕石場現場実験で使用するモニタリング装置(画像解析用と光量変化用の2種類)の作成まで到達できたので、H28年度には現場実験を行い、その結果を見ながら現場に対応したモニタリング装置へと改良する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は、①H27年度に確認した粉じんモニタリングシステムを用いて砕石場内での飛散粉じん多点モニタリングの実施、②砕石場内で得られたモニタリングデータのサーバーへの送信方法についての検討を行う。 ①については、採取する岩種(安山岩・輝緑岩・石灰岩など)の異なる3事業所で、(1)画像解析による方法、(2)光量変化による方法のいずれの方法についても、同地点で飛散粉じんモニタリングを実施する。なお、モニタリング地点数は、これまで先行的に行ってきたMFSによる多点モニタリング調査(東日本大震災の津波廃棄物仮置き場周辺)を参考に、1事業所あたり10地点程度とする。各モニタリング地点はGPSを用いて正確な緯度経度を特定し、地理情報システム(GIS)に位置情報を入力する。モニタリング期間は、2週間に1回の頻度で3日間の連続モニタリングを行い、MFS表面への飛散粉じん吸着状況をインターバルカメラ撮影により確認する。なお、飛散粉じん量の比較参照データのために、既存の粉じんモニタリング法であるエアサンプラーによる同時測定を実施し、(1)および(2)のモニタリング法の精度検証を行う。 ②については、砕石場内のWi-Fi環境や携帯通信の電波状況を確認し、(1)の画像解析による方法であれば、撮影カメラのWi-Fiあるいは携帯通信タイマー機能を利用してサーバー(事務所内に設置予定のPC)へのデータ送信が可能か検討する。(2)の光量変化による方法であれば、小型マイコン(Arduino)に定期的にデータ通信するプログラムを組み込んでサーバーへのデータ送信の可能性を検討する。
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Research Products
(2 results)