2016 Fiscal Year Research-status Report
圧入ガスの置換によるシェールガス増進回収メカニズムの解明
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15K06637
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Research Institution | Public Works Research Institute |
Principal Investigator |
尾西 恭亮 国立研究開発法人土木研究所, 土木研究所(つくば中央研究所), 研究員(移行) (20402969)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 孔隙率 / 浸透率 / ガス吸着量 |
Outline of Annual Research Achievements |
ガス吸着量の測定は,シェールガスの中長期生産計画に多大な影響を与え重要である。しかし,開発初期段階ではガス吸着量の重要性は低く,かつ測定には時間と費用を要するため,分析記録が十分に取得されない点が,資源の有効活用の観点からの課題となっている。吸着可能量の情報を基にした増産計画の策定または不確定性の減少による開発リスクの低下などの長期的な商業的利点が現時点では限定的であるため,吸着量測定専用の岩石コア試料を確保することが経済的に困難な状況である。吸着可能量の分析記録が長期生産計画の最適化へ有効であることを明らかにするためには,豊富な記録を収集することが有効である。そこで,掘削カッティングス等の不定形試料からでも簡易的に吸着可能量を推定可能とする分析手法の開発が有効となる。本研究では,基礎試験として整形岩石試料を用い,ただし,掘削現場でも使用可能な,部品点数の少ない圧力容器で構成される測定装置による岩石試料のガス吸着に関係する諸物性の測定を試みた。手法の特徴は,現場での測定記録を補完するために,流体流動数値計算を併用し,ガス生産推移による圧力と流量が合う条件を観測物性値とする推定手法である。提案手法で重要となるのは,圧力容器を用いた試験条件に対する数値計算で推定可能な感度範囲であり,各種条件で感度分析を行った。その結果,泥岩の浸透率は比較的高い感度を有し,推定可能性を有することが示された。しかし,吸着量の感度は不十分であり,測定条件を改良しなければ推定することは困難であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究により,数値計算を併用することにより,現場においてガス吸着可能量を簡易に測定可能な手法の可能性が確認された。現場でも使用可能な簡易試験装置を改良を重ねて構築した。測定の手間や時間を十分に低下させることが可能であることを確認した。数値計算によるヒストリーマッチングにより浸透率などのパラメータが十分な精度で決定可能であることを示した。一方,ガス吸着量は,測定条件の変更などの改良をしなければ,十分な測定感度が得られないことがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
ガス置換による増進回収メカニズムの解明を進める。測定に必要なモニタリング計測技術に関する要素技術開発も進める。
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Causes of Carryover |
測定システムの構築に際し,超音波単触子の発注納品が遅れたため,周辺測定環境の構築が間に合わなかった。そのため一部を次年度に回した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に回した分は,計測に必要なケーブル類や,設置治具の用意に用いる。
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