2015 Fiscal Year Research-status Report
単一坑井で断層等の3次元位置形状計測が可能なフルポラリメトリックボアホールレーダ
Project/Area Number |
15K06642
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
海老原 聡 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (20301046)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ボアホールレーダ / 地中レーダ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の主要な実績は3次元フルポラリメトリックボアホールレーダに使用可能な送信用アレーアンテナを設計し、試作したことである。さらに、このアンテナと同一ゾンデで使用可能なように、受信側についてもアレーアンテナを整備した。これらの完成したレーダを用いて、以下の実験: 1.送信用アレーアンテナを坑井内におき、受信ダイポールを坑井から離れた崖に設置し、送受信アンテナ間の伝達特性の測定 2.2 m 離れた2つの坑井において、片側に送信用アレー、もう片側に受信用アレーをおくことで、アレー素子間の全ての組み合わせで伝達特性の測定 3. 試作した3次元フルポラリメトリックボアホールレーダを岩石中と土壌中の坑井におき、シングルホール計測の実施 を行った。1の実験については、アレー信号から受信側ダイポールの向きを推定できることを示した。これにより、直線偏波の場合については、送信波の偏波状態を制御できることを示した。2の実験については、平行偏波系の受信電圧の平均値は直交偏波系の受信電圧に比べ、非常に大きくなることを確認した。これは、送受信ともに偏波に対する感度が計画通り良好であることを示す。3の実験については、電磁波の反射波の際に、特異な偏波特性をもつと考えられる物体で、予想したとおりの偏波に対する受信電圧が得られた。 以上により、平成27年度に実施予定としていた内容はおおむね実行することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元ポラリメトリックボアホールレーダ用送信アンテナの設計と試作は完了し、フィールド試験を行うことで動作していることを確認したことから、今年度の主目標は達成できたと考える。さらに、平成28年度に予定していた内容(境界面・き裂計測、土壌中の円柱計測)についても今年度一部実施した。また、送信側における偏波計測については直線偏波の場合で達成している。パラメトリックな手法を用いた波の分離手法についても提案し、学会発表まで行っている。以上により、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、鉱山内でフィールド計測を行う予定であったが、現場の都合により実施できない可能性もある。この場合には、1.連携企業の実験場におけるフィールドにて、鉛直導体円柱、斜め導体円柱の計測、2.学内の岩石フィールドにてき裂や境界面の計測、3.学内の土壌フィールドにて鉛直導体円柱の計測、のいづれかを実施することで、平成29年度に3次元のポラリメトリックデータから物体の性質の検討ができるようなデータ取得を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
フィールド実験に関する消耗品を在庫していたものを用いることで、節約ができ、残金がでた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度もフィールド実験を行うため、このための消耗品として支出する予定である。
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