2018 Fiscal Year Research-status Report
高精度電磁場解析統合システムによるミリ波伝送機器損失評価と最適化
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15K06650
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
中村 浩章 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (30311210)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 祐一 甲南大学, 知能情報学部, 教授 (50311212)
久保 伸 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (80170025)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 電磁波応答 / FDTD / ドルーデモデル / ローレンツモデル / ファズ構造 / 角運動量 / 光渦 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度行っていたタングステンファズ構造を模した凸凹構造・バブル構造をターゲットとし、平面波を照射するFDTDシミュレーションでは、タングステン中でのジュール加熱を求めるアルゴリズムが不完全であった。FDTDする際に必要なYee格子では、計算に用いる電場磁場はxyz成分ごとに違う場所に位置するが、その場所でのジュール熱を求めるという素朴な手法を用いることで精度がよくなった。この改良手法を用いて、凸凹の場合、さらには、実際のタングステンファズ構造での電磁波応答シミュレーションをすることができた。結果として、タングステンの表面の凸凹度合いが強くなればなるほど、電磁波の吸収が進むことが分かった。さらに、凹の構造より、凸の構造の方が電磁波の吸収が強くなることが分かった。これは、ナノ構造の柱に囲まれた領域に電磁波が閉じ込められそこで電磁波の強度が増強されるためである。ゆえに、同じ表面積でも、構造によっては、吸収率が変わることも見出すことができた。 さらに、導波管中の電磁波伝搬については、これまではTEモードもしくはTMモードの電磁波入射を行ってきた。今年度新たな試みとして、電磁波の持つ角運動量について着目した。結果として、まずは矩形導波管中での各電磁波伝搬モードのある断面での総角運動量を求めゼロになることを解析的に示すことができた。一方、円筒導波管では、総角運動量が有限になることを、系の対称性から議論できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
導波管中の電磁波伝搬について、壁材料の適切なモデルの導入から、ファズ構造の光学応答への拡張することができた。さらには、導波管中の伝搬モードの角運動量についての検討を始めることまでできた。これらの進展を見て、おおむね順調に進展したと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
コルゲート導波管に電磁波応答を、複素誘電率を組み込んだドルーデ=ローレンツモデルによるシミュレーションコードで計算できるようになった。この計算の検証として、コルゲート導波管の伝送効率実験との比較で妥当性が定性的に確認できるようになった。さらに、導波管以外のナノ構造金属表面の実験との比較も進め妥当性が定量的に確認できた。この成果を学会論文発表し本コードの信頼性を確固とするため延長を希望し認められた。今後は、得られた結果を積極的に学術発表を行い。得られた結果・計算技法の周知に努める。
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Causes of Carryover |
旅費および物品費が、別の予算から支給されることがあったため、次年度使用額が生じた。この予算を用いて、翌年度は研究成果を発表するため学会に参加し、さらに論文発表を行う計画である。
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