2016 Fiscal Year Research-status Report
3次元擾乱磁場が高速イオン閉じ込めに与える影響の研究
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15K06655
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
篠原 孝司 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部, 上席研究員(定常) (50354600)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高速イオン / 擾乱磁場 / 共鳴 / 粒子軌道 / 損失高速イオン計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、ELM緩和用の擾乱磁場中での高速イオンの振舞いの理解を目的として、韓国のKSTARでの実験の解析を進めた。前年度までの解析で、KSTARは比較的プラズマ電流が低いため、高速イオンの軌道幅が大きく、プラズマ中心部に生成された高速イオンであっても外側の磁場擾乱の影響をうけやすいことがわかったが、影響の受け方について解析を進めた。すると、外部に移動することで磁場擾乱の影響を単に受けているわけではなく、外部に移動する過程で粒子軌道と磁場構造の共鳴条件を満たせるようになっていることが鍵となっていることがわかった。これまでの成果をまとめて論文とした。 KSTARの損失高速イオン計測(FILD)について、ピッチ角 (高速イオンの磁力線に対する角度)とエネルギーの2次元の速度空間情報計測の時間分解能向上のため、昨年度高速カメラを導入した。本年度、不安定性の擾乱磁場による高速イオン損失を計測しようと試みたが、制御計算機のトラブルが発生し、実施できなかったため、復旧作業を行った。次年度のデータ取得を目指す。 なお、このFILDは、プラズマの外に損失する高速イオンのピッチ角とエネルギーという位相情報を取得できる計測器である。しかしながら、その計測可能な位相領域は設置環境に左右され、自明でない。そこで、実際のプラズマ対向壁と3次元磁場条件を考慮し、計測可能な速度空間領域を評価する手法を構築した。具体的な適用例として、KSTARトカマクを用いた。3次元磁場条件が変わると計測可能な速度空間領域が大きく変わっており、計測可能な速度空間領域の評価が重要であることを示した。この成果を2つの国際会議にて発表するとともに、まとめて論文とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
KSTARの条件での解析により、静的な擾乱磁場中での高速イオンの振る舞いの理解が進み、論文にまとめることができた。さらに、振る舞いの理解に使用する損失高速イオン計測(FILD)の適切な解析を行うコードを整備し、その有用性を論文としてまとめることもできた。一方、高速化したFILDを用いた実験は制御計算機の不調で実施できなったため、動的な擾乱磁場による実験データの取得はできずにいる。
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Strategy for Future Research Activity |
解析については、新たに分かった静的擾乱磁場中での粒子軌道と磁場構造の共鳴という機構に着目し、簡易輸送モデルで使用可能な輸送スケール長の見積り手法を構築する。また、高速化したFILDを用いて、動的な擾乱磁場による実験データを取得したい。
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Causes of Carryover |
今年度はおおむね順調に活動しており、昨年度からの繰越が次年度へ繰り越された状況である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
韓国のKSTAR装置での実験データの解析を進めるための機器の購入、及び、データの取得・情報収集や研究成果の発表のための旅費として使用する。
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