2017 Fiscal Year Research-status Report
次世代核融合超高温プラズマにおける高電離タングステンイオンの高精度診断方法の確立
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15K06658
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Research Institution | National Institutes for Quantum and Radiological Science and Technology |
Principal Investigator |
仲野 友英 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部, 上席研究員(定常) (50354593)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 原子分子データ / 原子過程 / 二電子性再結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子構造計算プログラム FAC によって電離及び再結合断面積の計算をそれぞれ 62 価及び 63 価タングステンイオンに対して行う.また,その計算精度を実験で測定されたスペクトル線の強度比から評価し,これによって世界で初めて精度が評価された電離及び再結合断面積を整備することが目的である. 二電子性再結合過程では,1.63 価タングステンイオンが電子を捕獲し,その後,2a. 光放射を伴う脱励起過程(再結合を完了して 62 価タングステンイオンとなる)と 2b.自動的に再電離する過程(電子捕獲前の 63 価タングステンイオンに戻る)が競合する.昨年度は,断面積の計算精度の向上のため,考え得る全ての遷移を2a.光放射脱励起と2b.自動電離過程について考慮する方針で計算を進めた.しかし,計算時間が莫大となり,また,重複して計算される遷移の数が増えて,これを取り除くプログラムを開発する必要があった. そこで今年度は,遷移確率の大きい種類の遷移を調べ,その種類の遷移を多く考慮することにより,計算時間を抑えつつ計算精度を向上させる方針に切り替えた.具体的には,2a.光放射脱励起過程では,例えば,W62+ 2p5 3s 3l nl から W62+ 2p6 3s nl への脱励起,つまり3l 電子が内殻の2p 軌道を埋める遷移が主要であることを見出した.また,2b.自動電離過程では,例えば,n< 7 では W62+ 2p5 3s 3l nl から W63+ 2p6 3s への電離が,n≧7 では W62+ 2p5 3s 3l nl から W63+ 2p5 3s 3l への電離が主要であることを見出した.これらの性質を利用し,上記と同種の遷移を中心に考慮することによって効率的に計算を進めることができた.これにより二電子性再結合断面積の計算はほぼ完了し,実験との比較を行う準備がほぼ整った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度には,電気通信大学の実験装置で 62 価及び 63 価タングステンイオンのスペクトル線強度の測定を実施する予定であったが,実験装置の不具合により実施することができなかった.平成28年度にも実験装置は復旧しなかったため実験を行うことは出来なかった.平成29年度の途中に復旧したとのことであったが,本研究のためのマシンタイムは確保できなかった.平成30年度には,密に打合せを行い,マシンタイムを確保して実験を行う計画である.一方で,二電子性再結合断面積の計算の進行状況は上に述べたとおり,着実に進んでいる.平成30年度には計算を完了させ,実験測定値との比較に注力する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
電気通信大学の実験装置が復旧したため,本研究で必要な実験データが得られると考えられる.ただし,何らかの事情で十分なマシンタイムが取れず実験データが不足する場合には,米国標準技術研究所の実験装置での実験を引き続き検討する.他方,二電子性再結合断面積の計算は完了する見込みが高い.
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Causes of Carryover |
実験装置の不具合により実験データが取得できず,研究が予定通りに進まなかった.これによって,予定していた成果発表(国際学会)を取りやめた.そのための旅費が次年度使用額として生じた.次年度には成果発表のための旅費として使用する.
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