2017 Fiscal Year Research-status Report
DNA損傷を指標とした放射線量測定法の開発と実用化
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15K06667
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
清水 喜久雄 大阪大学, ラジオアイソトープ総合センター, 准教授 (20162696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 陽一郎 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (90568883)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DNA線量計 / LET / DNA損傷 / DNA鎖切断 / イオンビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
PCR法による鎖切断の量的評価法を開発し、ヘリウム・炭素粒子線とγ線の鎖切断量の比較検討を行った。2017年ではヘリウム線を照射した場合の結果を追加した。ガンマ線およびヘリウム粒子線および炭素線を照射した場合のDNA鎖切断収量については、LETに依存することが示された。本成果の一部は、The 13th International Workshop on Ionizing Radiation Monitoring (茨城)で発表をおこなった。 更に高LETの粒子線の効果については、放射線医学総合研究所 HIMACにて炭素粒子(290 MeV, LET:50 keV/μm)およびネオン粒子(400MeV, LET:38 keV/μm)をDNAに照射した場合について解析・比較した。また比較として、量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所のTIARAにて炭素粒子(220 MeV, LET:107 keV/μm)およびネオン粒子(260MeV, LET:352 keV/μm)を照射した結果とも比較した。結果から、吸収線量の上昇に伴い、未損傷の鋳型DNA量が減少することが示された。またLETが13 keV/μmの炭素粒子線と比較して107 keV/μmの炭素粒子線の場合は、未損傷の鋳型DNA量が減少することが示された。一方でLETが352 keV/μmのネオン粒子線と比較して107 keV/μmの炭素粒子線の場合、未損傷の鋳型DNA量が減少した。本成果の一部は、日本放射線安全管理学会第15回学術大会(岡山)にて発表した。 今後は、陽子線、中性子線など今まで解析していない線種についても照射実験を行い、多様な線種に対応できるシステムの構築を目指したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所のTIARAの照射実験において、装置の不具合により十分な照射回数を確保できなかった。 さらに、血液照射実験で、PCR反応に必要なプライマーの設計が十分でなく、うまく増幅反応が進行しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
DNA線量計の感度上昇のため、放射線照射した酵母細胞の全塩基配列を決定し、その変異部位の解析により放射線により変化を受けやすい塩基配列をしらべ、その部位を含むDNA断片をターゲットとして、定量PCR反応を行う。 血液照射実験で、PCR反応に必要なプライマーの再設計を行うとともに、血清からのDNA抽出の方法の標準化を図り、迅速に照射線量を計測する方法を開発する。 なお、量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所のTIARAでの照射実験は機械の回復により希望通りの照射が可能になる。
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Causes of Carryover |
当初予定していた量子科学技術研究開発機構 高崎量子応用研究所のTIARAの照射実験において、装置の不具合により十分な照射回数を確保できなかったため、実験を次年度に行い、それらのデータも合わせて次年度の国際学会で発表をおこなう。
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Research Products
(3 results)