2017 Fiscal Year Annual Research Report
Controlling luminescence property of tetravalent uranium by assymmetric conformation
Project/Area Number |
15K06673
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
青柳 登 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, 研究副主幹 (80446400)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | アクチノイド化学 / ランタノイド / クエン酸 / 四価ウラン |
Outline of Annual Research Achievements |
四価ウラン化合物の強発光を実現するために、中心金属近傍の非対称性を意識した分子設計および錯体合成、構造決定及び先進レーザー計測による電子スペクトルと分子内エネルギー移動の観測を行った。最終年度に大洗燃研棟の事故によって核燃を用いた実験が停止せざるを得なくなった経緯から、模擬物質としてランタノイドを用いた分光実験を検討した。 そこで、水溶液中における三価ランタノイド‐クエン酸錯体の化学種分布と配位構造に関する研究を電位差滴定、核磁気共鳴分光、時間分解型レーザー誘起蛍光分光法によって行った。化学種分布を滴定によって明らかにした結果、ルテチウム錯体において単核及び複核錯体が生成した。これと核磁気共鳴分光による配位子の配座及びレーザー分光の発光寿命測定の結果と整合からユウロピウム錯体の組成を決定した。 多核化生成が進み、錯体の対象性が低くなるのに従って、発光スペクトルが分裂する様子が観測された。この時、多核錯体中のランタノイドイオン当たりの水和数を決定すると同時に、発光寿命の変化から、ランタノイドイオン間のエネルギー移動効率を求めた。水溶液中において、単純な配位子を用いて強発光を実現するとともに、非対称性を保つためには構成物の存在比だけでなく、化学種分布を併せて明らかにすることが重要であることが示された。この結果は、加水分解反応が重要な役割を果たすことからもたらされたもので、ランタノイドだけでなく、ウラン化合物ではより複雑になることが考えられる。
|