2016 Fiscal Year Research-status Report
積雪の断熱効果を利用した温度差発電システムの開発とエネルギーの地産地消
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15K06679
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
白川 龍生 北見工業大学, 工学部, 准教授 (50344552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 理音 北見工業大学, 工学部, 准教授 (60301975)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 積雪の断熱効果 / 温度差発電 / ヒートパイプ / 遮光板 / 土壌凍結 / 小型風力発電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,冬季の気温と積雪環境下の地温の温度差を利用した熱電変換による温度差発電システムを開発することを目的に,実験を行い考察したものである.前年度までの研究では日射による昇温や暴風雪時の発電能力の低下の問題があった.そこでこれらの改善を行い,実環境での冬季の気温と地温の温度差とそれを補う風力を用いたペルチェ素子による発電を行った. 本研究では,得られた知見は以下のとおりである. (1)既往の研究の問題点に対し,日射による昇温を防ぐとともに、通風と積雪を考慮した特殊な遮光版を設計・設置した.これにより,地温と気温の温度差と熱起電力の関係が安定した.(2)温度差発電が期待できない暴風雪期間について,小型風力発電装置によって補う方法を考案した.結果,前年度と比較し,強風時は起電力を補うことができた.(3)地温・気温の温度分布を分析した結果,気温はばらつきがあるが地温は安定していること,さらに積雪深の増加に伴い断熱効果が現れることがわかった.(4)今後の課題は,温度差・風力による発電が見込めない時間の対処方法を検討することである.将来的にはバッテリーの設置の対処方法が考えられる.(5)昇圧回路を用いれば,自発光視線誘導標(フラッシュデリ)を使用可能である.使用するためには野外発電実験に用いたペルチェユニットを6並列と昇圧回路使用,そして温度差29.5℃で利用可能と推察される.(6)野外実験を実施している箇所では地下水位が高いため,ヒートパイプによる採熱を行っても実験孔に熱が供給されることにより,周囲の土壌が凍結しないことがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
発電に必要な環境面の調査は順調に進んでいるが、熱電変換ユニットの試作に時間を要した。また、野外実験装置が一台に限られ、発泡ウレタンによる断熱加工に時間を要するために、簡単にシステムを変更することができない。室内実験のスペースは学内共同利用スペースになるため、時間制約がかかっている。今年度は実験をより計画的に進める。
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Strategy for Future Research Activity |
電気関係の工作については、一部を外注化し研究スピードを高める。温度差発電の弱点を補うために小型風力発電を導入した。今後は電力ソースの最適化を図るとともに、地熱の効率的な利用法を追求する。積雪の断熱効果についても今一度点検する。
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Causes of Carryover |
研究開発の遅れ(電子工作)に伴う予算未執行が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅れている部分の研究開発を進め、前年度執行できなかった部分も含め、計画的に予算執行する。
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