2015 Fiscal Year Research-status Report
1D・3D解析の融合による多機能CO2ヒートポンプ給湯システムの性能分析・最適化
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15K06689
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
横山 良平 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70158385)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 省エネルギー / ヒートポンプ / 自然冷媒 / 貯湯 / 数値シミュレーション / 性能推定 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度においては,(1)貯湯槽温水流動実験,(2)貯湯槽モデルの構築および試行数値解析,(3)システムのモデル構築および試行数値解析を中心に実施した. (1)では,円筒型貯湯槽の上下面に加えて側面にも温水の流出入穴を設置して貯湯槽温水流動実験装置を作製し,実験解析を実施した.保温機能に対応して貯湯槽への戻り温水を想定し,温水の流入に伴う貯湯槽内の温水流動の3D的な挙動および温度分布の経時変化を分析した.(2)では,貯湯槽温水流動実験によって得られた温度分布の経時変化に基づき,部分的完全混合の仮定によって貯湯槽温度分布の1Dモデルを構築した.また,モデル化した貯湯槽のみを対象に試行数値解析を実施し,温度分布の時間変化を算出し,実験結果が再現できることを確認した.(3)では,システムのモデルも構築し,試行的に数値解析を行った.これまでに構築したCO2ヒートポンプのモデルに加えて,熱交換器,浴槽,および多機能化に伴う温水分岐・合流のモデルを構築した.また,上記の新しい貯湯槽のモデルをシステムのモデルに組込み,試行数値解析を行い,結果の妥当性を確認した.その際に,部分的完全混合が逐次瞬時に生じるものと仮定し,非線形連立混合微分代数方程式を数値的に解くための各時間ステップの計算後に,貯湯槽温度分布を変更するという新たな数値解法を採用した.その他,最終的な目標として平成29年度に予定しているシステムの最適化を行うためには,システム性能の推定を行う必要があり,ニューラルネットワークによる性能推定の多機能システムへの適用可能性についても検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度においては,研究実施計画で述べた(1)貯湯槽温水流動実験,(2)貯湯槽モデルの構築および試行数値解析,(3)システムのモデル構築および試行数値解析のそれぞれについて,概ね順調に進展させることができた.なお,(1)において,中温水取出しのみの実験解析は実施することができたが,研究実施計画で述べた中温水取出しと戻り温水の組合せの実験解析は実験装置の複雑さの理由によって実施することができなかった.一方,研究実施計画には含めていなかったが,ニューラルネットワークによる性能推定の多機能システムへの適用可能性については概ね検討することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には,まず,日変化無し給湯需要量の条件として,日本工業規格に従って,特定の一日の給湯需要量を設定し,それが毎日繰返し発生するものと仮定し,周期的定常状態に達するまで数値解析を行い,その結果からシステム性能値を評価する.また,単一機能システムと多機能システムを比較し,多機能化に伴うシステム性能値の変化を明らかにする.次に,日変化有り給湯需要量の条件として,修正M1モードと呼ばれる日変化を考慮した一箇月の模擬給湯需要量を設定し,数値解析を行い,その結果からシステム性能値の日変化を評価する.また,同様に多機能化に伴うシステム性能値の変化を明らかにする. 平成29年度には,多機能化によってシステム性能の低下の原因となる温度中間層を減少させるための方策の一つとして中温水取出しシステムを対象とし,数値解析によって性能分析を行い,中温水取出しがシステム性能の向上に及ぼす影響を明らかにする.また,ヒートポンプ運転条件としての出湯温度および沸き上げ終了時入水温度はシステム性能に大きな影響を及ぼし,給湯需要量の日変化に対して適切に設定する必要がある.これまでに構築してきたニューラルネットワークによる性能推定および最適化による運転条件決定の手法を適用し,上記の温度の日々適切な設定がシステム性能の向上に及ぼす影響を明らかにする.
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Causes of Carryover |
平成27年度は直接経費の約5.5%の98,433円を使用しなかった.全体的に各内訳において概ね計画に従って使用したが,特に旅費の使用額が計画よりも少なかったためである.これは,初年度として実験装置の制作(研究経費の減額により別予算による)と試行数値解析の準備に時間を費やし,調査・資料収集のための出張の機会を逸したためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は3年間の研究期間で最も交付金額が少ない年度であるため,平成27年度に使用しなかった98,433円を消耗品費,旅費,人件費・謝金,その他に適宜分割追加して使用する予定である.
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