2016 Fiscal Year Research-status Report
自動車用排熱回収システムに用いるフラッシュ蒸気機関の最適化
Project/Area Number |
15K06690
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
吉山 定見 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (80210780)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | エネルギー / 省エネルギー / 排熱回収 / 熱サイクル / 熱機関 / 蒸気機関 / フラッシュ蒸発 / 内燃機関 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.試作したフラッシュ蒸気機関の熱効率に及ぼす影響 噴射条件として,噴射圧力,噴射温度を設定し,ボイリングスリーブ温度を独立に変化させ,機関の熱効率の評価が可能な実験システムを構築した.噴射温度は200~250℃の範囲で変化させ,ボイリングスリーブ温度は200~300℃の範囲で変化させ,それぞれの温度が機関の熱効率に及ぼす影響を調査した.その結果から,ボイリングスリーブ温度を上昇させると,発生仕事および熱効率ともに増加することがわかった.一方,噴射温度を上昇させると,発生仕事は増加するが,熱効率は250℃付近では増加しなくなることがわかった.噴射温度を高くすると,フラッシュ割合が増加し,シリンダ内の最高圧力が増加し,発生仕事は増加するが,その後の壁面蒸発による仕事は増加しないため,熱効率が増加しなかったと考えられる.この機関の熱効率を向上させ,最適化を行うためには,加熱壁面での飽和水への熱伝達を詳細に検討する必要があることがわかった.なお,得られた実験結果に基づいて本研究で提案するサブクール液体フラッシュ蒸発サイクル(SLFB)の理論サイクルの検討も行った.
2.定容容器を用いたフラッシュ蒸発過程および壁面衝突過程の可視化 昨年度に完成させた定容容器システムを用いて単一孔から噴霧挙動の可視化を行った.噴霧特性として噴霧到達距離や噴霧角を測定し,壁面衝突過程を可視化するための基礎データを取得した.これらのデータに基づいて壁面衝突過程の可視化実験に用いる加熱平面の設計,飽和水への熱流束の測定方法などの検討を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「試作したフラッシュ蒸気機関の熱効率評価」については順調に進展しており,その成果を平成29年度に開催される学会等で報告する予定である.一方,「定容容器を用いた壁面衝突過程の可視化」については噴射条件や雰囲気条件の設定に手間取り,自由噴霧での噴霧特性の評価までしか進んでいない.ノズル周辺温度や雰囲気条件を一定に保つために当初予定していた実験装置では安定した実験ができなかったが,現在は実験可能な状況にある.当初の計画よりも遅れており,平成29年度に実施予定の熱流束測定と同時に研究を進める予定である.なお,平成29年度に予定していた理論サイクルの構築を先に行っており,その成果の一部は平成29年度に報告する予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
1.試作したフラッシュ蒸気機関の熱効率に及ぼす影響評価については,平成29年度の国際会議(COMODIA2017)にて成果報告を行う.現在は条件を維持した状態で1回のみの噴射により,熱効率の算出等を行っている.連続した機関運転を行うためには噴射装置やボイリングスリーブの加熱方法をさらに検討する必要があり,1回のみの実験と並行して進めていきたい. 2.定容容器を用いたフラッシュ蒸発過程および壁面衝突過程の可視化については,平成29年度中に熱流束測定を含めた研究を実施し,次年度には研究成果を報告する予定である.壁面衝突時の噴霧挙動について現在の高速度ビデオカメラを用いた手法で測定可能であるが,熱流束を計測する方法についてはさらなる検討が必要である. 3.本システムの理論サイクルの構築については,平成28年度から検討を進めており,一部の成果を平成29年度の国際会議(TFEC9)で報告するため,講演申込を行った.引き続き,理論サイクルの構築を実施する予定である.
|
Research Products
(5 results)