2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K06702
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊澤 佳子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (40372453)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2018-03-31
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Keywords | 前頭眼野 / 上丘 / 眼球運動 / 注視 |
Outline of Annual Research Achievements |
霊長類は、興味あるものが空間内に現れると、そこへ視線を向けて網膜の中心窩に捉える。この時、他の対象は無視する。これは注意が注視として外的に発現したものであり、注視と関連して不要な眼球運動を抑制する興味ある部位を、大脳前頭眼野において我々は見い出した。本研究は、この部位の投射先を同定して注視発現の機序を調べ、注視システムを明らかにすることを目的とする。解析は、サルの前頭眼野と中脳の上丘及び脳幹において電気生理学的・解剖学的手法を総合して進める。 平成27年度は、訓練したサルにおいて、まず前頭眼野の微少電流刺激を行い急速眼球運動(サッケード)および滑動性眼球運動の発現が強く抑制される部位を同定した。この抑制は、電気誘導性サッケードが誘発される閾値より低い刺激強度で起こり、同側性抑制と両側性抑制の2種類に分けられる。前頭眼野の両側性抑制部位は、prearcuate gyrusの弓状溝下行脚に面した限局した領域であり、この領域では注視中に強い持続発火を示す注視ニューロンが数多く記録される。注視ニューロンの活動を滑動性眼球運動との関係で解析すると、注視ニューロンは滑動性眼球運動中に活動が減少するものから増加するものまで連続的に見い出されたが、そのうち三分の二以上の注視ニューロンが、滑動性眼球運動中に同側性または両側性に活動の減少を示すことが確認された。この注視ニューロンの活動の減少は、滑動性眼球運動のinitiationから始まり、maintenance中も続いた。また、catch-upサッケードを伴わない滑動性眼球運動においても、注視ニューロンの活動の減少が認められた。以上の結果から、前頭眼野の注視ニューロンはサッケードのみならず、滑動性眼球運動の抑制にも関わり、注視の維持に重要な役割りを果たしていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究計画で主な目標としていた、前頭眼野抑制野の同定を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
前頭眼野の主な投射先である上丘において、系統的に微少電流刺激効果を検討する予定にしている。
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Causes of Carryover |
これまでの研究成果に関して、学会発表等を次年度に行うことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果発表の費用および平成28年度の研究計画通り、実験動物の費用、電極の費用、薬品の費用等に使用する。
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