2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K06711
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
下崎 康治 長崎大学, 先導生命科学研究支援センター, 助教 (40379540)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経科学 / 神経幹細胞 / ニューロン新生 / 未分化維持機構 / 自己複製機構 / エピジェネティクス / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究はDNA脱メチル化因子TET1の成体脳ニューロン新生の分子制御ネットワーク因子の一つとして申請者が見出したRev-erb遺伝子の神経新生における役割を解明することを目的の一つとしている。本年度はこのDNA脱メチル化因子TET1の培養神経幹細胞における自己複製機構に関与する分子制御ネットワークの解析をまとめ、その結界をCell Mol Neurobiol誌に報告した。さらにRev-erb遺伝子のin vivoにおけるshRNAノックダウンシステム解析においてノックダウンサンプルの一部では成体マウス脳海馬領域歯状回細胞におけるBrdUの取り込みが減少している傾向が得られていたが、サンプル数が十分でなかったので検体数を増やして統計解析を行った。その結果、コントロールのスクランブル配列とRev-erb遺伝子ノックダウン配列のshRNA発現サンプル間でBrdU取り込み率に有意差は検出されなかった。このシステムは培養細胞で機能することが分かっていたが、in vivoではポジティブコントロールのTet1遺伝子ノックダウンサンプルも有意差が検出されなかったことから、in vivo特有のshRNAノックダウンシステム上の問題があると推察される。そのため別の手法による解析を試みた。研究計画に記載の代替えプランであるRev-erb遺伝子のドミナントネガティブ体の発現ベクターを構築した。in vivoで単一の新生ニューロンに遺伝子導入可能なシステムであるレトロウィルスベクターにRev-erb遺伝子のドミナントネガティブ体を組換え導入した。このドミナントネガティブRev-erb遺伝子発現レトロウィルスベクターは同時にEGFP遺伝子を発現するため、導入細胞の蛍光標識がin vivoにおいて可能である。このウィルスベクターをパッケージング細胞に導入し、遠心濃縮後の培養上清を用いてマウス培養神経幹細胞の感染導入実験を行った結果、この発現ベクターシステムが十分機能することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の進行に若干の前後があるが平成27ー28年度研究計画におおむね沿って研究を行い、その結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度はドミナントネガティブ体の発現ベクターの構築とin vitro解析がメインとなったので、最終年度となる平成29年度はドミナントネガティブ体のin vivoにおけるニューロン新生への作用を解析する。またリガンド化合物のin vitro及びin vivoの生化学的作用と生理機能効果の解析、さらに培養神経幹細胞を用いたRev-erb遺伝子のターゲット遺伝子探索を中心に研究を進める。
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Causes of Carryover |
shRNAノックダウンシステムによるin vivo解析が効果的でないことが判明したので、代替え案のドミナントネガティブ体発現ベクターの構築を優先したために動物行動実験解析関連システムの購入を控えたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画記載の設備備品、消耗品、及び突発的に必要となる関連品の購入資金として使用する。
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