2015 Fiscal Year Research-status Report
プルキンエ細胞樹状突起の情報処理におけるイオンチャネル分布のはたす機能的役割
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15K06725
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
洪 聖昊 沖縄科学技術大学院大学, Computational Neuroscience Unit, 研究員 (90600205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高嶋 聰 沖縄科学技術大学院大学, その他の研究科, 研究員 (00374190) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Dendrite / Neuron / Morphology / Computational model / Simulation |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究目的はニューロンの樹状突起に存在するイオンチャネルの情報処理に役割を明らかにする基礎作業に樹状突起形態構造の果たす役割とイオンチャネルのコンピュータモデルを 作成するソフトウェア制作であった。 1. 最近、樹状突起は、機能的に区画化されて一つあるいは複数の樹状突起が一つの機能的ユニットで挙動するという仮説が提起された。しかし、樹状突起形態構造は、ニューロンに応じて非常に多様である。この様々な形態構造でいくつかの区画化が行われるかどうかを研究した。そのために、様々な形態のイオンチャネルを含まない受動的なニューロンモデルに局所的電流刺激を加えながらシミュレーションした。複数の刺激部位に応じた電位反応データをクラスタ化アルゴリズムを使用して分類した。この結果、実際の樹状突起の区画化されたユニットが観察され、そのパターンは、樹状突起形態構造に応じて大きく変わることが観察された。小脳プルキンエ細胞の場合、20個以上の樹状突起のセットがユニットを構成した。これにより、樹状突起での局所的信号が伝達されることが形態構造に応じて、様々な方法で区画化されたユニットを介して行われていることを確認した。また、イオンチャネルを組み込んだ能動的なモデルにより、樹状突起でスパイク(dendritic spike)の拡散などの能動的挙動が受動的モデルでのユニットと似ていることが観察された。 2. 実験データでイオンチャネルのコンピュータモデルを作成するソフトウェアChanneltuneのプロトタイプを完成した。Channeltuneは、進化的アルゴリズムとクラスタコンピュータで多数の並列シミュレーションを通して、イオンチャネルモデルの多くのパラメータを見つける機能を持っている。現在オープンソースで公開されている(http://github.com/CNS-OIST/channeltune)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1.現在の様々な種類のニューロンを用いた数多くのシミュレーションをすることに予想よりも少し時間を要しており、生成されたデータの分析にも時間がかかる。錐体細胞とプルキンエ細胞の場合とそれらの比較に焦点を当てる予定。
2.現在のChanneltuneソフトウェアのクラスタコンピュータでの運用に関連する機能の改善に多少の困難を経験しており、実際の実験データを使用したChanneltuneのテストが遅れている。早くこの部分が進行されるように尽力する予定。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究計画: プルキンエ細胞の樹状突起において,異なる種類のイオンチャネル - 電位依存性Ca2+ channelとカルシウム依存性KCa-channelおよび Kv4 channel - が互いに近傍に分布して,相互作用することが明らかになってきている.イオンチャネルの相互作用のdendritic computationにおける機能的意義を定量的に調査することを目指す.この相互作用は微少領域(<10μm)においてなされる ため,イオンチャネルの挙動は確率論的に扱わざるを得ない.そこで平成28年度は以下の2つのソフトウェアの開発・拡張をおこなう. 1.シミュレーションソフトウェアへの確率論的イオンチャネルモデルの導入 確率論的イオンチャネルモデルを神経細胞の汎用シミュレータであるNEURON simulator (Hines and Carnevale, Neural Comput, 1997) に導入するためのツールを開発する.このことによりイオンチャネルの確率論的挙動の局所領域(>10μm)におけるdendritic computationに対する機能的意義を定量的調査することが可能となる.
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Causes of Carryover |
コンピュータモデルの作成とその検証、大量のデータ解析、特に非常に重要なシミュレーション結果の可視化を行う計画であるため、グラフィックスに優れた高性能のワークステーションを日常的に使用する必要がある。2台の購入を計画したが、計画されたコンピュータモデル(Apple MacPro)の更新が遅くなって(現在、平成25年モデル販売中)、アップグレードされたモデルを購入するため保留中。平成28年度の購入予定。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ワークステーション(Apple MacPro) 2台、海外出張費 (CNS meeting 2016 / SfN meeting 2016)、 論文出版費
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Research Products
(1 results)