2016 Fiscal Year Research-status Report
味覚中枢における情報処理機構の解明と味覚情報の解読
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15K06731
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
黄田 育宏 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳機能解析研究室, 主任研究員 (60374716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 伸志 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 主任研究員 (00713455)
上口 貴志 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳機能解析研究室, 主任研究員 (80403070)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 味覚 / fMRI / 脳機能 / 超高磁場 / 磁気共鳴 / 脳活動 / 脳機能計測 / 食 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,超高磁場MRIを用いた機能的MRI(fMRI)と最新の数理的解析技術を組み合わせた脳機能計測システムを構築し,ヒトの味覚中枢の活動を空間軸・時間軸の両面から高精度に計測・解析する。 今年度,味覚刺激を複数のシリンジポンプを用いてPCによる制御を行い,時間的に正確にかつ刺激時間を調節できるようになり,複数の味溶液による刺激を可能とした。今年度は,異なる味質により活動部位が異なるのか,fMRI信号より濃度をデコーディングできるのかを検討するために,うま味,塩味,甘味,うま味については異なる濃度について検討を行った。被験者に8秒間味溶液を口腔内に保持し,その後,嚥下を行った。味溶液で刺激後,蒸留水あるいは人工唾液を口腔内に注入し洗浄とした。超高解像度の機能画像により,味溶液刺激によって口腔・舌領域の運動領域と体性感覚領域,島皮質中心溝,弁蓋部に活動がみられた。これらの領域は,先行研究結果と一致している。本研究では,対照溶液の蒸留水や人工唾液に対しても味溶液刺激と同様に,体性感覚領域に加えて島皮質などでの脳活動が得られた。この結果,対照溶液は味溶液刺激の体性感覚領域の活動とともに島皮質などの活動も相殺することになり,味覚に対する特徴的な脳活動は得られなかった。今年度採用した刺激プロトコールでは,味溶液の嚥下後,わずかに口腔内に残っている可能性があり,その後,対照溶液を注入することによって,残存する味溶液が刺激となり島皮質などの活動につながった可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
味溶液刺激に対して活動するとされている島皮質や弁蓋部領域に注目して脳活動データの解析を行った。それら領域において,味溶液刺激の濃度に対して異なる活動はみられたが,明らかな依存性は検出されなかった。しかし,その原因として,今回使用した刺激方法とプロトコールに問題があった可能性がある。今後,味覚刺激後に対照溶液刺激を複数回行うなど刺激プロトコールを変更し,濃度依存性についての検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の実験では,味溶液刺激に活動するとされている島皮質や弁蓋部の活動に注目して解析を行ったが,特徴的な応答を見いだすことはできなかった。今年度の刺激を行う際の問題点を解決するとともに,刺激に対して局所領域の脳活動だけでなく,脳全体の活動をパターンとして解釈し,濃度閾値や異なる味溶液に対する活動を客観的に評価できるかどうかを検討する。
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Causes of Carryover |
今年度の使用はほぼ計画通りであったが,昨年度の繰越額が大きいため,わずかに次年度の使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内・国際学会での研究成果発表を予定しており、それらの旅費の一部として充当する予定である。
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