2017 Fiscal Year Research-status Report
味覚中枢における情報処理機構の解明と味覚情報の解読
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15K06731
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
黄田 育宏 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳機能解析研究室, 主任研究員 (60374716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西本 伸志 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 主任研究員 (00713455)
上口 貴志 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳機能解析研究室, 主任研究員 (80403070)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | MRI / 超高磁場 / 脳機能 / 撮像技術 / 磁気共鳴 / 脳活動 / 脳機能計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,超高磁場MRIを用いた機能的MRI(fMRI)と最新の数理的解析技術を組み合わせた脳機能計測システムを構築し,ヒトの味覚中枢の活動を空間軸・時間軸の両面から高精度に計測・解析することを目的とする。以下の実験は,情報通信研究機構に設置された倫理・安全委員会において研究内容の安全性・必要性に関して承認を得て実行した。 味溶液刺激に対するこれまでに高解像度で得た脳活動の正確な位置情報を得るために構造画像を取得する必要がある。超高磁場MRI装置では,高磁場化にともないRFパルスの波長が短くなるために生じる定常波によって構造画像に信号の濃淡(ムラ)が生じる。今年度は,信号ムラを低減するための撮像法を用いて構造画像を撮像し,そのパラメータの最適化を行った。さらに,その画像から灰白質の脳活動を抽出するために,灰白質,白質,脳脊髄液の分離を行う必要がある。しかし,高解像度の構造画像はデータ量が大きいため,解析に時間を要する。そこで,新たな解析法を開発し,大容量データに対しても短時間で分離を可能とし,灰白質だけの活動を得ることができるようになった。大脳味覚野である島皮質は,脳脊髄液との分離が特に必要となるが,本手法を用いることで味溶液刺激に対する島皮質領域の灰白質から信号を取得できるようになった。 複数のシリンジポンプを用いてPC制御による味覚刺激を行った。前年度の問題点であった残存する味溶液を検討するため,刺激時間を短く,味溶液量を少なくして刺激を行った。被験者に2秒間甘味溶液を口腔内に与え,さらに味溶液の洗浄および体性感覚の影響を除くために,蒸留水で同じ刺激を行った。口腔・舌領域の体性感覚領域,大脳味覚野である島皮質,弁蓋部に活動がみられた。刺激時間や刺激量を変化させときの味溶液刺激の脳活動が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超高磁場MRIにおける脳機能計測法の確立を行った。刺激時間や刺激量をかえた条件での味溶液刺激に対する脳活動を取得し,データ解析を行った。そのために,脳機能画像の歪み低減の撮像法の最適化,画像歪みの補正法,心拍や呼吸などの生理的ノイズ除去,被験者の動き補正を行った。また,脳活動領域を同定するために構造画像の規格化,構造画像からの組織の分離法の確立を行い,それらの使用を可能とした。これらの補正法,規格化や分離法を確立するために想定以上に時間を必要としたが,現在では,島皮質や弁蓋部など幾つかの領域で活動を得ることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで蓄積してきたさまざまな結果を国内外の学会で公表し,さらに論文としてまとめて学術誌に投稿を行う。また,刺激プロトコールについても改良を行う。さらに,味刺激による活動を局所ではなく脳全体のパターンとして解析を行い,その評価法を検討する。
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Causes of Carryover |
学会発表のための旅費の使用が少なかった。 国内・国際学会での発表と研究成果の論文投稿費用を予定している。
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