2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K06735
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石井 智浩 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60549947)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 隆夫 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50218004)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経回路 / 発生工学 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経科学において特定の機能を制御する神経のネットワークを理解することは極めて重要である。多くの動物では外界の情報受容を化学感覚に依存しており、生殖、攻撃、恐怖などの行動がそれぞれ特有の化学物質によって引き起こされる。本研究ではどのような神経ネットワークが様々な行動・情動を制御しているのかということを明らかにすることを目指している。 今回の実験では代謝・食欲などを制御する視床下部腹内側核のSF1発現細胞に注目し、その細胞と接続する細胞群を同定するような実験をデザインした。実験では神経シナプスを超えて輸送される遺伝子組換え酵素Cre(transsynaptic Cre, tsCre)を用いた。まずtsCreの発現および活性を調べるために、HEK293細胞株にCre活性を検定できるmTmGトランスジーンを導入し、安定株を作製した。mTmGはCre依存的に蛍光タンパク質の発現がtdTomato(赤色蛍光タンパク質)からGFP(緑色蛍光タンパク質)に変化する人工遺伝子である。tsCreを導入したmTmG細胞株においてCre依存的な遺伝子組換えをおこすことができることを確認できた。tsCreを用いたトランスジェニックマウスを作製するために、トランスジーンを染色体上の特定の部位に挿入する方法および通常の受精卵前核にDNAを注入する方法を試みた。これまで後者の方法で3ラインのマウスの作製に成功している。対照実験としてSF1細胞を蛍光タンパク質で標識できるようにSF1-CreトランスジェニックマウスとCreリポーターマウスであるROSA-tdTomatoを入手して掛け合わせを行った。現在これらトランスジェニックマウスの解析を始めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トランスジェニックマウスに関して通常の受精卵前核にDNAを注入する方法により目的のトランスジェニックマウスを作製することができた。実際の発現の状況は今後の解析で明らかになると思われる。引き続き遺伝子発現の高いゲノム領域にトランスジーンを導入する方法についても試みている。対照実験に用いるSF1-CreトランスジェニックマウスとROSA-tdTomatoリポーターマウスに関しても問題なく入手し、それらの受精卵からマウス個体の作製に成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
解析できるトランスジェニックマウスが揃ったので、マウスから凍結切片を作製する。tdTomatoの蛍光観察および、免疫染色により神経細胞のネットワークを詳細に観察する。同時並行で、tsCreを用いた別のトランスジェニックマウスの作製も始める。tsCreには起点となる神経細胞から上流に移動するものと下流に移動するものがある。またtsCreを発現させる細胞種もいくつか検討する必要がある。様々なトランスジェニックマウスを作製することで研究を大きく発展させる。
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Causes of Carryover |
予定の予算額に対して約9割は予定通り使用している。購入を予定していた免疫染色に関する試薬を次年度に購入することにしたことが一因であると言える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は免疫染色を本格的に始めるので、繰り越し分はその予算に充てる。
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