Outline of Annual Research Achievements |
嗅覚受容器ニューロンが存在する嗅上皮レベルで、嗅覚機能とニューロン数の関係を明らかにする研究を行い、ステレオロジー解析装置を用いて、1側鼻腔嗅上皮に存在する変性を免れたOlfactory marker protein (OMP) 陽性受容器ニューロンの総数を計測し、以下の結果が得られた。嗅覚(+)ラット(n = 4): 18,200,000 16,100,000 11,900,000 9,700,000; 嗅覚(-)ラット(n = 4): 10,200,000 5,700,000 4,500,000 2,000,000; 正常ラット(n = 4):22,600,000 21,100,000 20,000,000 18,800,000 以上の結果より、1側に約50%以上(約1,000万)の受容器ニューロンが存在すれば、嗅覚機能は維持できると推察された。 嗅球投射ニューロン(僧帽細胞)が存在する嗅球レベルで、嗅覚伝導路である外側嗅索(LOT)切断後の再生した僧帽細胞数を、ステレオロジー解析装置を用いて定量評価する研究を行い、以下の結果が得られた。正常ラットの神経トレーサー(FG)で標識されたFG(+)僧帽細胞数は、49,700 ± 4,300 (100%) であった。生後2日(P2) のLOT切断ラットでは、再生したFG (+) 僧帽細胞数は、35,100 ± 4,500個 (71%) であり、生後7日(P7)のLOT切断ラットでは、再生したFG (+) 僧帽細胞数は、19,700 ± 5,000個 (40%) であった。ニューロンの再生率は軸索切断時のラットの日齢とともに減少することが明らかとなった。嗅覚(+)ラット(n = 2)の再生したFG (+) 僧帽細胞数は、23,400 と21,300 で、嗅覚(-)ラット(n = 2)の再生したFG (+) 僧帽細胞数は、13,000 と9,600 であった。 以上の結果より、1側に約40%以上(約2万)の再生した僧帽細胞が存在すれば、嗅覚機能は維持できると推察された。
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